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リングワールドふたたび/L.ニーヴンThe Ringworld Engineers/L.Niven |
1980年発表 小隅 黎訳 ハヤカワ文庫SF767(早川書房) |
リングワールドの建設者の正体については、長編『プロテクター』を読んでいれば(宇宙服などの形状から)見え見えでしょうし、逆に読んでいなければ(作中で説明されているとはいえ)おそらく今ひとつピンとこないのではないかと思われます。
補修センターの隠し場所は非常に秀逸だと思います。大気の薄さを再現するために高度が必要な火星の地図を選択することで、大容量の空間が確保できるというのも巧妙ですし、他の惑星の地図も配置することで本来の意図をうまく隠蔽しているところも見事です。また、裏面に凹みも放熱板もないという手がかりもよくできています。
ようやくたどり着いた補修センターでの、プロテクターと化したティーラ・ブラウンとの再会はあまりにも衝撃的。前作『リングワールド』では万能とも思えた“ティーラ・ブラウンの幸運”とは何だったのか、改めて考えさせられます。469頁〜470頁にかけて語られている、ティーラ自身は後代の幸運な血統の人々のための捨て石にすぎないという推測の残酷さは、何ともいえないものがあります。
それにしても、前作『リングワールド』では〈アーチ〉の根もとまで歩いていくという〈探す人{シーカー}〉の誓いに敬意を払っていた(『リングワールド』476〜477頁)はずのティーラが、あっさりと |
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