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ロイストン事件/D.M.ディヴァイン

The Royston Affair/D.M.Devine

1964年発表 野中千恵子訳 現代教養文庫3047(社会思想社)

 真田啓介氏による見事な解説に付け加えることはあまりないのですが、一点だけ。
 “ロイストン事件”そのものは確かに殺人事件との直接の関連は薄いのですが、ミスディレクションの一種としてもう少し積極的に評価してもいいように思います。犯行の動機が事務所からの情報漏洩の隠蔽にあることがわかれば、容疑者はかなり限られてしまうため、解説の「D テクニック」の項で言及された点があるとはいえ、犯人は露見しやすくなってしまいます。“ロイストン事件”の存在によって真の動機が隠され、結果として犯人がわかりにくくなっている、という効果は否定できないのではないでしょうか。

2004.06.23読了

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