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人魚とビスケット/J.M.スコット

Sea-Wyf and Biscuit/J.M.Scott

1955年発表 清水ふみ訳 創元推理文庫211-02(東京創元社)

 市場で“人魚”が見つからなかったのが、いわゆる“見えない人”トリックによるものだとは見当がつきましたが、その真相が、“人魚”が“ビスケット”たちに会おうとしない理由につながっているところが秀逸です。

 語られた漂流譚の結末を揺るがす、終盤の意外な展開もまた見事です。死んだはずの“ナンバー4”からの手紙という謎に対しては、“人魚”による鮮やかな推理が示されますが、さらにそれをひっくり返すかのような遠くからの呼び声のインパクトは、絶妙なタイミングも相まってホラーの域に達しているといってもいいかもしれません。メアリー修道女の存在などの伏線もよくできています。

2004.11.17読了

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