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シートン(探偵)動物記/柳 広司

2006年発表 (光文社)

 一部の作品のみ。

「カランポーの悪魔」
 オオカミの遠吠えコンテストで犯人を見つけるという趣向が非常にユニークです。ただ、いくら油断していたとはいえ、犯人が証拠を処分せずに残しすぎているのはいかがなものかと思います。
 不可解な非難の手紙にまつわる物語の結末は、実に感動的です。ただそれだけに、この作品が本書の最後に配置されていないのが残念でなりません。もちろん、都合上困難なのは理解できるのですが……。

「銀の星」
 “銀の星”の宝物の中に混じっている“小さなゴム製のボール”(66頁)という手がかりがよくできています。また、夜に起きた事件がカラスのせいではあり得ないという結論にも納得です。

「ウシ小屋密室とナマズのジョー」
 ウシ小屋が密室状態であるというだけでなく、シートンが語り手であることを考えれば、何らかの形でウシが事件に絡んでいることは明白なのですが、さすがにこの真相は予想できませんでした。

「熊王ジャック」
 ジャックが利き手を怪我していたという手がかりから出発する、シートンの推理の手順が非常によくできていると思います。また、トニイが受け取る電報の暗号もなかなか面白いと思います。
 しかし、現在のパートの叙述トリック(277頁)にはすっかり騙されてしまいました。

2006.06.04読了

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