眠りをむさぼりすぎた男／C.ライス

　登場人物たちの誰もが、弱みを握られてはいるものの、ジョージを殺すという大それたことをしそうには思えないので、ジョージが生きていたという真相については驚きよりも安堵の方が先に立ってしまいます。そして、ジョージの狂言だということが明らかになってしまうと、フランク殺害の犯人は動機のあるジョージしか考えられません。

　フランクとジョージが逆だったという真相は動機に深みを与えてはいるものの、唐突に持ち出されることもあって衝撃はさほど感じられません。もちろん、フランクが秘密を抱えていたことが伏線になっているともいえますが、これだけでは明らかに弱いでしょう。ややもったいないところです。