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スモールボーン氏は不在/M.ギルバート

Smallbone Deceased/M.Gilbert

1950年発表 浅羽莢子訳(小学館)

 ネタバレなしの感想で言及した“ギミック”とは、いうまでもなく、本文248〜249頁の展開です。つまり、一旦はコーネル嬢にあからさまに疑惑を向けつつも、彼女が右利きであることを強調して疑惑を否定するという手法は実に大胆で、面白く感じられます。

 残念ながら現代の日本では、ゴルフがある程度普及している上に、援用可能な野球の知識がさらに広く浸透していることもあって、真相を見破るのは困難ではないように思います(例えば、野球の右打者が主に左手でバットを引っ張り、右手はあくまでも支える程度、というのは、わりあいよく知られているのではないでしょうか)。逆に、1950年の英国であれば、まったく問題なく成立していたのでしょう。

2004.06.01読了

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