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騙し絵の檻/J.マゴーンThe Stalking Horse/J.McGown |
1987年発表 中村有希訳 創元推理文庫112-04(東京創元社) |
本書のミステリとしてのポイントは、いわば“事件の主副の逆転”です。アリソンとの間に接点が見つからず、彼女を殺す動機もないと判断された犯人は、アリソン殺しがメインの事件と思われている限りは安全なのです。これは、例えばA.クリスティの有名な作品((以下伏せ字)『ABC殺人事件』(ここまで))のような、“動機の不在”という状況によって真相を隠蔽するものに通じるところがありますが、本書では“主副の逆転”によって偽の動機(偽の解決)が生み出されているところがユニークです。
非常にシンプルなネタであるにもかかわらず、真相が見えにくくなっているのには、いくつかの理由が考えられます。
このように、口封じがメインの殺人よりも先に行われるのはかなり異例ですが(解説で法月綸太郎氏が |
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