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チベットから来た男/C.B.クレイスンThe Man From Tibet/C.B.Clason |
1938年発表 門倉洸太郎訳 世界探偵小説全集22(国書刊行会) |
この作品では、動機に着目すると犯人がわかりやすくなってしまっているのが残念です。作者としては、メリウェザーの遺産をすべて息子に相続させることで動機を隠蔽しようとしたのだと思いますが、叔父のことを気に入っている息子から資金援助を受けられるであろうことは明らかですから、メリウェザーの死によって最も得をするということは見え見えです。また、日系人殺しの凶器であるチベットのスカーフ(カタ)の出所も、ラマ僧でないとすれば弟しかあり得ないでしょう。 しかし、日系人を殺す理由、そしてその奥に隠された企みについてはよくできていると思います(正直なところ、日系人が殺されたのは“チベットの呪い”を演出するためかと思ってしまいました)。 ホテルに残されたあごひげが“偽の手がかり”だったというのも面白いと思いますが、白粉の使い方が最高にユニークです。 2002.07.29読了 |
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