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スティームタイガーの死走/霞 流一 |
2001年発表 ケイブンシャノベルス(勁文社) |
まず列車消失の謎については、トリック自体は脱力ものともいえますが、その背景はよくできているのではないでしょうか。テンダードライブ方式を売り出すと同時に、“張り子の虎”という言葉を痛烈にアピールするという小羽田伝介の計画、特にそこに含まれる子供じみた妄念は印象的です。ただ、肝心の小羽田親子の確執があまり描かれていないので、やや唐突に感じられるのは否めませんが。 総理大臣の性別については、先入観を利用したよくできたトリックだとは思いますが、伏線がほとんど見当たらないところが残念です。 最後の大仕掛けについては、いくつか引っかかるところはあったものの、すっかり騙されてしまいました。最も違和感を感じたのは“携帯用電話”という用語でしたが、他にも“松代”という地名など、ヒントは示されていたと思います。逆に、キラリが緑茶に砂糖とミルクを入れて飲んでいた場面などは、あまりにもあからさまに変だったために、かえって個人的な変わった趣味にすぎないものと思い込んでしまいました。 O.K氏の著作を読んでいれば、さらに楽しめたかもしれません。 2001.02.18読了 |
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