ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.4 > そして扉が閉ざされた

そして扉が閉ざされた/岡嶋二人

1987年発表 講談社文庫お35-12(講談社)

 きっちりとした推理がメインの作品ではありますが、それだけではなく、ダミーの解決、さらには意外な犯人というサプライズも仕掛けられています。

 この“意外な犯人”を可能にしたのは、自分が殺したことに気づかないほど瞬時に殺害する方法であり、そのためにアイスピックという凶器、そして首の後ろという位置がうまく設定されています。

 “視点人物=犯人”であっても、自分が犯人であることにまったく気づいていないので、いやらしさは感じられません。逆に、極限状況で推理を続けた末に自分が犯人だったと知ったときの、強烈な絶望感が強く伝わってきます。

 ダミーの解決も、登場人物相互の関係をうまく利用したもので、説得力もあると思います。

 やはり、細部まで計算し尽くされた傑作です。

2000.05.03再読了

黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.4 > そして扉が閉ざされた