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とむらい機関車/大阪圭吉 |
2001年刊 創元推理文庫437-01(東京創元社) |
一部の作品のみ。
- 「とむらい機関車」
- “「八百屋お七」ミステリ”の(おそらく)元祖。この種の作品では、単に自己中心的な動機としか受け取れなくなってしまう危険性があり、それを回避するために工夫が必要になると思うのですが、この作品では豚の窃盗・轢殺という比較的罪が軽い事件であり、また狂った娘のために父親が事件を起こすという構図となっていることで、トヨの思いの純粋さが損なわれていません。
また、干菓子と抹香という手がかりもよくできています。
- 「デパートの絞刑吏」
- 青山喬介が再現する、凶器となったバルーンの生々しい動きが、何とも不気味に感じられます。
- 「白鮫号の殺人事件」
- 他の作品も含めて、あまり古びたところが感じられないために、御木本幸吉(作中では“三喜山”になっていますが)の人工真珠の特許が期限切れになっていないことに意表を突かれました。
- 「石塀幽霊」
- 蜃気楼トリックによって人数が増えることで、陳腐な消失トリックが見破られにくくなっているところが秀逸です。
- 「雪解」
- 黄太郎の金縁眼鏡が決め手になることは予想できますが、砂金池そのものが“犬塚理学士”によるイカサマだったという皮肉な結末が何ともいえません。
- 「坑鬼」
- 扉を封じたために殺されたのではなく、扉を開こうとしたために殺されたという逆転の構図が非常によくできています。また、扉の奥に峯吉の骨が見つからないことで、閉じ込められた峯吉が脱出したという誤った仮説が補強されているのもうまいところです。
2005.08.07読了 |
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