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遺跡の声/堀  晃

1996年/2007年発表 創元SF文庫722-02(東京創元社)

 一部の作品のみ。

「塩の指」
 作中で言及されている“塩の指{ソルト・フィンガー}”という現象は、こういうもののようです。

「救助隊II」
 惑星を飛び立った宇宙船そのものが“遺跡”だというのが面白いところです。

「沈黙の波動」
 「塩の指」のオネイロス第4惑星に言及された上で“私にはそれが巨大な放熱板と見えたのだった。”(122頁)と書かれているあたりは、ミステリにおけるミスディレクションに通じるもので、興味深く感じられます。

「遺跡の声」
 テトラニティと融合したトリニティは、地下に眠る十億体の有機生命体を滅ぼしてしまいます。これは、トリニティが“私”との精神的な絆を完全に断ち切ったことを象徴するような場面です。「太陽風交点」に始まり、この作品に至るまでの間に“私”とトリニティが築き上げてきたはずのパートナーシップが、一瞬にして消え去ってしまったという事実には、深い無常感を覚えます。

2000.07.02 アスペクトノベルス版読了
2007.09.23 創元SF文庫版読了

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