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UNKNOWN/古処誠二

2000年発表 講談社ノベルス(講談社)

 表の感想で「自衛隊という特殊な“世界”をきっちりと描くためには必要な量だ」と書きましたが、これは動機も考慮してのことです。当初はやはり、盗聴器が仕掛けられたのは国防がらみではないかと考えました。実際には隊員の出世争いだったわけですが、自衛隊という世界がしっかりと描かれていることで、出世争いが他の世界と比べて非常に過酷であることがうかがえたので、この動機にも納得することができました。つまり、自衛隊という世界の閉鎖性だけでなく、非常に厳しい競争社会であることも伝わってくるので、動機に関する説得力が高まっているのだと思います。

 密室トリックについては、やや深読みしてしまいました。“識別不明機出現”が唯一のチャンスだと気づくと同時に、この“識別不明機出現”(実際には“ドクダミ”こと佐藤士長の誤認でしたね)自体が意図的なものではないか、つまり“ドクダミ”も一枚かんでいたのではないかと考えてました。私の予想が外れて、野上三曹にとっても幸いだったと思います。

2000.04.14読了

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