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被害者を探せ/P.マガー

Pick Your Victim/P.McGerr

1946年発表 衣更着 信訳 ハヤカワ・ミステリ194(早川書房)

 まず動機に関する推理が始まりますが、ほとんどの被害者候補がステットスンと衝突しており(ビガースは例外ですが)、誰が被害者となってもおかしくないという状況です。その中で、ジョーの推理には非常に説得力があります。ステットスンがたった三度だけ自制を失った、そのすべてにハーディング女史がかかわっていたというのは盲点でした。

 しかしさらに、犯人指摘の具体的な手がかりまでも提示されているのが秀逸です。“茶色の毛の襟巻”については当初から若干気になってはいたのですが、このような形で被害者が絞り込まれるとは思ってもみませんでした。結局、事件の状況を告げる新聞記事の断片と、ロビンズの語る事件以前の家振会の内部事情とを組み合わせて真相解明に至るという道筋は、この作品の特殊な形式をうまく生かした見事なものだと思います。

2001.08.30読了

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