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くたばれ健康法!/A.グリーン

What a Body!/A.Green

1949年発表 井上一夫訳 創元推理文庫165-01(東京創元社)

 冒頭で提示される謎のうち、“射殺されてからパジャマを着せられた”点については真相を見抜きやすいのではないかと思います。室内で犯行が行われたのであればまだしも、室外で銃を撃ってからわざわざパジャマを着せに行くだけの合理的な理由は考えにくいでしょう。そうなると、被害者が特殊な姿勢をとっていたためにたまたま腰の部分が露出していたと考えるのが自然です。

 しかし、その弾道トリックと組み合わされた“プール水面の閃光”というレッドヘリングは非常によくできています。弾道と反射光とが相まって、“犯人がプールから銃を撃った”という状況が補強され、真犯人がうまく隠されているのです。

 そして、真相解明のプロセスも巧妙です。ヒューゴー警部がアーサーの目の前で体操をやって見せたことがパジャマの謎の解明につながっているわけですが、その実演もたまたまではなく、カールが発見した銃弾がきっかけとして用意されています。この、銃弾の発見→その解明としての体操の実演→パジャマの謎の解明、という一連の流れが非常にうまく作られていると思います。

2003.05.12読了

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