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不確定世界の探偵物語/鏡  明

1984年発表 トクマ・ノベルズ(徳間書店)

 一部のエピソードのみ。

「昨日のない明日」
 過去の改変による“異化”という現象がうまく使われています。また、世界を進化させようとするエドワード・ブライスの正体も秀逸です(ウォレスは知っていたのですが……ローレン・アイズリー『ダーウィンと謎のX氏』(工作舎)を参照)。

「空白の殺人者」
 不可能なはずの20年前の過去の改変が行われたというトリックについては、とある海外の時間SFで似たようなものを読んだことがあるので、さほど驚きはありませんでした。被害者本人たちではなくその子供が重要だったという真相は、なかなか意表を突いていると思います。

「復讐の女神」
 パラレルワールドものだったか、と錯覚させられそうになる発端ですが、過去が改変されても変化しないための分身、というアイデアは非常によくできていると思います。そして、パティの周到な復讐計画も印象的です。また、冒頭の殺人事件とダイイングメッセージが中心かと思わせておいて、実はそうではないというプロットのひねり具合も見事です。

「真夜中の死」
 ついにノーマンがブライスの秘密を暴露しますが、逆にノーマン自身の秘密が明かされるのが驚きです。ノーマン自身も知らなかったその役割には、なるほどと思わされます。

2005.03.05読了

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