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恍惚病棟/山田正紀

1992年発表 ハルキ文庫 や2-10(角川春樹事務所)

 この作品の最大のトリックはやはり、人物の取り違えでしょう。完全に騙されてしまいました。プロローグには長谷川(刑事)が養子だと書いてありますし、“長谷川”の病状に関する美穂と刑事たちの印象の違いなど、伏線もうまく張ってあると思います。

 一方、動機には問題があるように思います。誰が、何のために患者たちの命を狙うのかという謎は大きなポイントであるはずですが、これが単なる悪意、嫌がらせというのは、やや無理があるのではないでしょうか。

2000.12.04再読了