ネタバレ感想 : 未読の方はお戻りください
  1. 黄金の羊毛亭  > 
  2. ジョン・ディクスン・カー > 
  3. カー短編集vol.3 > 
  4. 殺意の海辺

殺意の海辺/J.D.カー他

Crime on the Coast & No Flowers by Request/J.D.Carr et al.

1984年発表 宇野利泰訳 ハヤカワ文庫HM113-1(早川書房)
「殺意の海辺」
 イエロー・キャット・カフェでの伏線をうまく拾って最後にまとめたのはうまいと思いますが、全体の流れは今ひとつです。特に、ニータが狙われた理由には納得がいきません。まあ、最後のフェラーズの責任ではなく、話を広げすぎた前半の担当者の問題でしょう。物語が収束しきれず、散漫なまま終わっているのが残念です。

「弔花はご辞退」
 第8章(アントニー・ギルバート)から第9章(クリスチアナ・ブランド)へとつながる部分、”そこに――わたしの推論が間違っていなければ――殺人者であるはずの人物が立っていた”(181頁)という箇所がスリリングです。そしてバトンタッチされた後、ブランドは一旦提示した“殺人者”を、さらにひっくり返しています。このあたりの展開は見事です。
2000.06.06読了