飼い始めるまで




はじめに

 「動物堂アウルルーム」の存在を知り、実際に何度かお店に行ってみると、自分たちでも飼ってみたいという気持ちが盛り上がってきました。しかし、実際にはおいそれというわけにはいきません。飼うことを決意してからも色々なことがありましたので、参考までにそれを記しておきます。




飼育準備日記 (すべて2001年の出来事です)
某月某日
 夫婦で「動物堂」へ行きました。ちょうどこれからフクロウを飼い始める方がいらっしゃっていて、店長さんが丁寧に説明なさっていたので、フクロウたちを眺めながら立ち聞き(!)。小型の種類なら何とか室内でも飼えそうな感触を得ました。お目当ての種類は比較的小型のアフリカオオコノハズクなので、十分いけそうです。他にも色々な知識を仕入れて大収穫でした。
 帰宅してから、飼育環境などについて夫婦で相談。

某月某日
 大家さんにご相談。一応ペットは禁止なのでドキドキしていたのですが、小型のフクロウ(セキセイインコよりやや大きめな程度)で、室内の箱飼いであることを説明すると、「そのくらいならいいでしょう」とご了承いただきました。一歩前進。

9月16日
 夫婦で「動物堂」へ。この時点でお店で見ることができるフクロウ類は、
と多数です(売り物でないサンプル個体も含む;リンク先はすべて「富士国際花園」です)。
 アフリカオオコノハズクのかわいらしさは別格ですが、オオコノハズクの大きな目もなかなかキュート。やや鋭さを感じさせるスピックスコノハズクも魅力的ですが、鳴き声が大きめなのがやや難点。他にも神秘的な容貌(笑)のメンフクロウにもひかれましたが、サイズが大きめなので無理……と、色々考えたような書き方をしていますが、すでに心の中ではアフリカオオコノハズクに決定していました。
 この日はとりあえず、飼育に関するビデオを購入して帰宅。

9月21日
 冷凍餌専用の小型冷凍庫を電器店に注文しました(食品と冷凍マウスを一緒に入れるのはやはりちょっと……)。→(しかし、後日よく考えてみると、餌の解凍にも使えるように小型の冷凍冷蔵庫を買った方がよかったかもしれません)
 開店時間を待って「動物堂」に電話で問い合わせてみると、衝撃の事実が明らかになりました。目当てのアフリカオオコノハズクは現在WC個体が1羽いるだけで、今年はもうCB個体の入荷予定はなく、次は来年6月頃になるということなのです(WC個体とCB個体については「基礎知識」を参照して下さい)。よく考えてみれば、繁殖期があるわけですから一年中入荷するはずがないのも当然ですが、かなりショックでした。WC個体は警戒心が強く、人間との交流の少ない観察飼育か繁殖飼育の方が向いているそうなのですが……。

9月22日
 夫婦で「動物堂」へ。フクロウたちを眺めながら色々と考えていましたが、閉店時間が近づいたのでとりあえずこの日はそのまま帰宅しました。

9月23日
 今日も夫婦で「動物堂」へ。色々とお話をうかがったのですが、やはりWC個体はかなり警戒心が強いとのことなので、今回はご縁がなかったものとしてやむなく断念(しかし、いずれは……)。第2候補として検討していたオオコノハズク(CB個体)を飼うことに決めました。
 この時点で売約済みでないオオコノハズクは2羽。どちらもおとなしい様子で、やや警戒心があるそうなのですが、片方の個体が終始奥の止まり木にいて、目隠し板から半分顔をのぞかせている状態なのに対して、もう片方の個体は比較的手前の止まり木にいることが多いという差がありました。手前にいる個体の方がまだ警戒心が少ないそうなので、そちらの個体に決定しました。現在は“おーちゃん”という名前で呼ばれているとのことでした。

9月27日
 先に発送してもらうケージの代金を支払うため、仕事の帰りに私一人で「動物堂」へ行ってきました。あらかじめ前日に連絡してあったので、ケージからおーちゃん(仮)を出して、餌をやるところを見せてくれました。いつもおとなしいおーちゃん(仮)が活発に飛び回るのを見て感心していると、いきなり私自身も餌をやることに。基本を教えていただいた後、早速実際に名前を呼んでみると、おーちゃん(仮)が私の手をめがけて一直線に飛んできました。意外なスピードに驚かされましたが、自分の手に止まって餌を食べるおーちゃん(仮)の姿には感激。

9月30日
 東急ハンズでネット(戸口から逃げ出さないように)や人工芝マット(止まり木に貼って止まりやすくするため)などを買った後、今日は夫婦で「動物堂」へ、おーちゃん(仮)の顔を見に行きました。今日も眠そうでした。

10月2日
 今日も東急ハンズで買い物。餌をやるのに欠かせない大型ピンセットを忘れていました。他には餌の容器として使う計量カップなど。帰宅してから夫婦であれこれと工作

10月6日
 ついにおーちゃん(仮)を家に連れて帰る日がやってきました。
 家に届いたケージを設置してから、「動物堂」へ出発。店長さんに丁寧な説明やアドバイスをしていただきました。“餌をやる手順をどの程度具体的にイメージできているか?”という鋭い質問にはしばし立ち往生。あらためて奥の深さを実感させられました。
 その後おーちゃん(仮)を段ボール箱に入れてもらい、家に連れて帰りました。ケージにもスムーズに入ってくれたのでとりあえず安心。今日は餌やりもなしなので、あとはプレッシャーをかけないように注意しながら観察。というよりも、同じ部屋に人間がいることに慣れてもらうつもりで、おーちゃん(仮)とはあまり目を合わせないようにしながら夫婦で会話してました。

10月7日
 今日は初めての餌やりですが、その前に部屋に放してみようと思い、ケージの扉を開けてみると……ケージの中でそのままずっと寝てました。意外とのんきな個体のようです。
 餌の準備が整うと目を覚まし、餌やりの作業もスムーズにいきました。

10月8日
 今日こそはと思い、目を覚ましている時間帯に扉を開きました。おーちゃん(仮)はしばらくあたりの様子をうかがっていましたが、ついにケージから飛び出しました。しかし、じっと見守る私たちの目の前で、また寝てました
 その後目を覚ますと、あちこち探検するかのように飛び回っていましたが、突然私の手に止まりました。警戒心はどこへ行ったのか……?

その後

10月25日
 “おーちゃん(仮)”改め“ジェフくん”は今日も元気です。よく食べ、よく眠り、よく飛び回り……。時おり遊び足りないのか、なかなかケージに帰ってくれないこともありますが、私たちにもすっかり慣れてくれたようです。体重も7g増えて87gになりました。
 アフリカオオコノハズクを飼うという当初のもくろみとは違ってしまいましたが、結果的にはこれでよかったと思います。あまり細かいことを気にしないおっとりした性格のようで、大したトラブルもなく一緒に暮らすことができているのですから。相性のいい個体に巡り会えて本当に幸せだと思います。


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