- ・はじめに
- フクロウを飼うのは、決して簡単なことではありません。犬や猫のように完全にペット化されているわけではなく、また飼育方法も一般のペットほどには確立されていません。餌も(基本的には)ペットフードのようなものはないので、生のお肉、具体的にはマウスなどをさばいて与えることになりますが、抵抗を感じる方も多いでしょう。
安易な気持ちで飼うべきでないというのはフクロウに限った話ではありませんが、ペットとして一般的な生き物というわけではないのですから、飼う前にも、そして飼い始めてからも絶えず勉強が必要だと思います。ネットで、あるいは書籍などで、まずはフクロウがどのような生き物なのかを理解するところから始めてみましょう。
- ・“しつけ”は?
- フクロウは訓練された犬のように言うことを聞いてくれるわけではありません。トイレのしつけなどは不可能だと考えて下さい。フクロウの行動を制限できるのは人間の都合ではなく、餌と外敵(危険)だけだといってもいいでしょう。
フクロウをしつけようとして叱ってみたら、どうなるでしょうか。やってみたことはありませんが、おそらくまったく通じることなく、むしろ叱った飼い主を“敵”だと認識し、近寄らなくなる可能性が高いのではないかと思います。
それでは、例えば都合のいい場所で糞をしてくれた時に餌をあげるようにすればいいかというと、それも難しいでしょう。おそらく、単にそこを“餌が出てくる場所”と認識するだけではないでしょうか。
したがって、無理やり人間の都合に合わせるのではなく、人間の方がフクロウに合わせたフクロウ優先の生活を考えるべきでしょう。
- ・“なれる”とは?
- “なれる”、あるいは“なれている”という表現をしばしば目にします。この表現からは、犬のように馴れることをイメージしがちではないかと思うのですが、“人になれているフクロウ”とはどういう状態なのでしょうか。
例えば、我が家のジェフくんは、餌の時に手に呼ぶ(フィストコール)ことができます。が、触られるのは嫌がります。これは“馴れている”のでしょうか?
もともと他者が常に存在することが前提となっている社会的な生き物(例えば犬のような)ではないのですから、“嫌なことはされない”という安心、いわばニュートラルな感覚まで持ってくることはできても、それ以上はなかなか難しいのではないでしょうか。
餌の時に人間の手に飛んでくるのは、餌の魅力と人間の手に止まることへの抵抗とを秤にかけて、そこまではOKと譲歩(妥協?)しているから。餌以外の時に人間に近寄ってくるのは、安心を前提にした好奇心の表れ。そのようなところではないかと思います。
つまり、“慣れる”ことはあっても、“馴れる”ことはないのではないでしょうか。要は何がいいたいかといえば、過度の期待は禁物ということなのですが。
- ・危険?
- フクロウは肉食の猛禽類です。小型種であっても、爪やくちばしにはそれなりの威力があります。極端に体重を落としたりしていなければ、人間を襲うことはまずないとは思いますが、急に飛んでくることもありますし(例えばこちらを参照)、小さなお子さん(あるいは他のペット)がいる家庭では注意が必要でしょう。また、屋外に連れ出す場合も同様です。
- ・フクロウの寿命
- 健康であれば、小型種でも10年から15年、大型種ではそれ以上にもなるようです。生き物を飼う以上、自覚が必要なのは当然ですが、それだけ長く付き合うことになるわけですからなおのこと、それなりの覚悟を持って飼うようにしていただきたいと思います。
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