【1】第1段階

室内に堰を切ったように鳴咽の声が起こる。
もう誰も「4」以外を出す人はいなかった
彼らと抱き合い、頬すりする際
べっちょりと涙や鼻水が衣服につくことがあったが、
べつに汚いとも思わなかった。

                          (人格改造!より)

 わはは、笑っちゃうね。「4」を全員出させるという洗脳行為をやった結果だからね。詳しくは中を見てね。

・さて、セミナーにでも行くか

 セミナーの目的は「自分の本心を堀りあてる」というものであり、別に知らなくても生きていけるのに無理に捜させ、みつかって「ああよかった」という考えてみるとくだらないものです。その課程に狂乱・ノイローゼ・自殺などがよくおこります。
 第1段階は4日間に渡り開催されます。時間は午前9時〜午後9時です。おそるおそる会場の受付に行くと、「こんにちわ」と元気なんだが、何かわざとらしく挨拶するアシスタントと言われる人たちが立っていました。話によると、そのアシスタントは何かにとりつかれたような感じで目が死んでいたという事でした。そして始まるまで控え室へ。そこには同じ様に訳がわからずつれてこまれた人達が約60人、もちろんすべて紹介されて来た訳ですから、紹介者が複数の人を勧誘すれば当然知合いの人も多くでてきます。
 突然隣の部屋から「こんにちわ」とまるで軍隊のような声。セミナーのリハーサルのようです。気を付けましょう。完全に洗脳されるとああなりますよ。はっきりいって気持ち悪いです。(もちろん声の主はアシスタント)
おまけですが、アシスタントは20代前半の人でも32、3才くらいに見えるそうです。洗脳され、「わたしは偉いんだ」というとんでもない勘違いから若々しさを失ったんではないでしょうか。

・この3分間って・・・・

 午前9時、セミナー開始。2001年宇宙の旅のテーマソングがかかり、参加者全員席につく。模造紙をセットしたポートフォリトの黒板、(ようするに模造紙でできた黒板)鍵、カーテンなど完全に密閉された部屋、「これって監禁じゃない?」と思いでしょうが、監禁罪とは、1人に対してのみ対応されるようです。セミナーもうまく犯罪から逃れてますね。
 音楽が終わると、トレーナーと言われるセミナー会社の社員が出てきて、一言。「これから3分間何か好きなことをしてください。」と。トレーナーはひっこんでしまいました。普通なら何もできないでしょう。ここで自己紹介なんてことを平気にやってしまったら人見知りをまったくしない脳天気人間か世の中を知らない3才児でしょう。
 3分たち、トレーナーがまた現れ、「あなたはいま何をしていましたか。何もしていなかった人は普段の生活でも人を避けてはいませんか。」など「大きなお世話だ。バカヤロー」と言いたくなりそうな気持ちになります。この表現は後々よくでます。

・セミナーはゲームなんです

 ここで、トレーナーから「このセミナーは人生の課程におけるゲームです。ゲームにはルールというものが存在します。ですからこのセミナーにもルールがあります。」と、勝手に言ってます。
 このルールをセミナー内では「グランドルール」と呼ばれ、次のとおりのルールが存在します。

1.時間をまもること。
1.このセミナーについてメモ、録音はとらぬこと。
1.このセミナーについて、いかなる場合でも内容に
  ついて人に話してはならない。
1.セミナー期間中は絶対にお酒を飲まないこと。
1.4日間必ず参加すること。
                               など。
というのがあります。これは第3段階まで継続し、勧誘するときはこのグランドルールに則って勧誘者には内容を話すことができないのです。だからセミナーは「あぶない」といわれてあたりまえなんです。
 トレーナーが「グランドルール」を述べます。そのあと質問を聞かれるのですが、そのときの会話を再現してみましょう。

トレーナー「グランドルール1、4日間のセミナーをすべて出席すること。
     (以下もう一度繰り返し)何か質問はありますか?」
受講生  「病気などして来れない場合はどうするのですか?」
トレーナー「(かなりムッとした表情。しかし顔は笑っている。怒ったような声で)
     グランドルール1・・・(以下繰り返し)・・・何か質問はありますか?」
受講生  「ですから、病気で・・・」
トレーナー「あなたはこのセミナーの中で病気をするのですか。」
受講生  「え、え、しませんが....」
トレーナー「何か質問はありますか。」
受講生  「い、いえ、何もありません。」

       ・・・以下このような問答が繰り返される。

 これでは質問ではないですね。半ば強制にグランドルールを決めつけています。普通ならこの態度に怒ってやめてしまうのですが、ほとんどやめません。10万近いお金を払い、何もセミナーを受けずに帰るのもしゃくですからね。
 みんな我慢しているのですよ。まさに「ふざけんなよ!!」ですね。仕事で来れないなんていうのは言語道断、そんなことは聞き入れることなんて絶対しません。受講者のプライバシーは完全無視、自分さえよければそれでいい。とんでもないですね。おちおち風邪なんてひいてられません。

・アシスタントの惨めで寂しい私生活

 グランドルールも強制的に了承され、次にグループ分け、パートナーを決めます。
 まず、グループを決めますが、これはセミナー側からランダムに決められます。そのグループの取りまとめをする人をアシスタントと言います。アシスタントはセミナーの卒業生、又は第3段階を受講している途中の人がなります。アシスタントはボランティアなので賃金は支出されません。ここでもセミナー会社の経理の真偽が問われます。
 ここで、アシスタントの私生活についてお話しましょう。
 アシスタントになれる条件は、5人以上勧誘に成功した人、いわゆるセミナー内におけるエリートです。しかし、同時に勧誘に失敗した人(勧誘成功者の約4〜5倍の人数)を敵に回した(気味が悪くて近寄れなくなった。)ので、当然私生活上では友達がいません。よって「セミナーがついてないと人生が楽しくない。」「セミナーがすべてだ」と言う人が多く、現実逃避をしています。
 これの重病者は社員として働くことになります。「セミナー」=「私生活」という想像もつかない生活です。この一歩先がトレーナーです。トレーナーは受講生が「友達」です。過去をすべて捨てて、(敵を作ったので)セミナー会社に入ったのですから、悲しいですね。
 アシスタントは私生活に戻ると、友達から嫌われているので、回りから白い目をされ、無視されます。だから、つらいことが多くなり、セミナーに電話をしてはげまされ、元気になり、また無視され落込み、これの繰り返しです。
 当然職を転々とする人が多く、社会からも敬遠されます。
 アシスタントはセミナーからみれば、エリートですが、一般社会からみれば落ちこぼれです。どちらかがいいかは言わずと知れていますね。ちなみに日本の総人口(一般社会)は1億2000万人に対して、セミナー関係者(受講者)の人口はわずか30万人。これが現実なのです。

・身も知らない人を信用できますか?
 
 次にパートナーを決めるのですが、これはグループの中から1人、自分で決めなくてはなりません。お願いしたり、時には奪い合いをしたりさまざまです。「パートナーとは、100%自分を信用し、相手も100%信用できる人」というのですが、今日あった人なんておちおち信用なんてできません。
 しかし、これがきっかけで恋人同志になる人も数多くいます。普段の生活でもそうですが、何も隠さず、おおっぴらにすると相手に伝わりやすくなり、信用が生まれる。そこから信頼・恋愛とつながるのではないでしょうか。
 余談ですが、恋人を作るだけの目的だったら結婚相談所に行くよりも確実にできる可能性は大ですが、セミナーがないとつながりが保てない貧弱なカップルとなるか、言い争いが絶えず、窮屈なカップルとなってしまいます。

・フィードバックとダイアード
 
 次に2人が約15cm離して椅子に向い合い、フィードバック(トレーナーからあるテーマにのって、何も考えず今思っていることをいい悪い関わらず言うもの。)をします。
 最初にAさんとBさんを決めて、先攻、後攻を決めます。(仮にAさんが先攻、Bさんが後攻とします)AさんがBさんに対してトレーナーから指示があったテーマについて述べ、Bさんは黙って聞きます。トレーナーの合図により、先攻、後攻が逆になり、今度はBさんがAさんに対して言います。
 まず、トレーナーが第1印象についてフィードバックしてくださいと言います。始めのうちは相手を思ってか良い面しか言わない受講生がほとんどですが、トレーナーが一言。「何偽善者になっているのですか!」と一喝。
 ここからが大変です。良い事をいうのがダメな事と思い込んでいる受講生は悪口の言いたい放題。「あなたは近付きたくない。」「化粧が濃いね。」「むさくるしい」など平気にいわせます。これがショックで気が狂ったり、ノイローゼ、果ては自殺にまで発展する危険なトレーニングです。逆に自分が気付かなかった部分を評価してくれるという面もありますが、人間そんなにできている人は希ではないでしょうか。
 これは勧誘のテクニックの一つで、勧誘されている人に対して最初は「言いたいこと言いやがって。いい加減にしろよ」と思うのですが、そのうち「自分の欠点をこんなに指摘してくれて、こんなに私の事を思ってくれるんだ。」と思い込み、勧誘されるのです。
 また、同様に「ダイアード」というものがあり、これはあるテーマ(喜怒哀楽、親について)について、パートナーの話を聞くものです。パートナーが話しているときはトレーナーの指示がない限り絶対に意見してはいけないことになっています。そして、トレーナーの許可により、パートナーが言ったことに対してフィードバックをします。ここまでくると受講生は「良い事を言ってはいけない」と思い込み(後に洗脳と変わる)「パートナーが悪い。人のせいにするな」となるわけです。
 これを1日中行います。そして、パートナー同士で明日もここに時間どおりに来るよう約束するようにトレーナーから指示があり、第1日目が終了します。

・遅刻と約束とパートナーとの信頼関係

 さて、2日目となり、朝が9時からと早く、当然遅刻者などが出るのですが、9時ぴったりに例の音楽が鳴り、遅刻者は入れてもらえません。トレーナーは怒った顔(まさに演技顔です。全然恐くない)で「パートナーが今いない奴はここに起立しろ」と言われます。「だからなんなんだよ」と思いながらしぶしぶ起立する人や、「どこだどこだ?」と探す人がいます。
 トレーナーはこう言います。(予定どうりの展開に喜びながら。台本があるみたい。)
 「私は昨日何といいましたか。時間どおりに来なさいと約束をしたのではないのですか?パートナー同士100%信頼しなさいと言いましたね。それが今日は何ですか。来てないということは約束とはそんなに簡単に破れるものなんですか?まさに信頼していないということではないのですか?」などと遅刻した人には何も怒らず、パートナーを怒るなんて何か矛盾してます。しかし、遅刻した人はのうのうとできるなんて遅刻常習者にとってこんなにいいものはないですね。それに、外に締め出してる遅刻者にわざと聞こえるようにパートナーに怒るとは間接的にグサッとくる心理作戦ですね。
 しかし、いかなる場合でも遅刻ができないなんて、電車事故やストライキなどが起こったらどうするんでしょうね。まあ自己中心的なセミナーのことですから「タクシーを使うなり、走るなどしろ」とむちゃくちゃなことを言うでしょうね。 また、トレーナー本人が遅刻したときの言い訳なんてものも聞いてみたいものです。
 約1時間位経って、遅刻した受講生はやっと入ることができ、セミナー開始となります。

・自画像を書こう

 2日目の最初は自画像を書くものです。約30分間時間を与え、みなさん一生懸命書いています。そしてグループごとに分かれて発表会。自画像と似てない人がほとんどです。
 トレーナーは「これは自分を見つめていないから似ないのです。もっと自分を見てご覧なさい。」といいます。話は前後しますが、最終日に同様のことをもう一度やるんですが、今度は何故か自画像はそっくりなのです。そして、先程の自画像をもらって、「最初に書いた自画像は今までの自分です。あなた達は生まれ変わったのです。過去の自分を捨ててください。」といい、受講生は最初に書いた自画像をビリビリに破きます。
 これは過去の出来事を白紙にして今回のセミナーだけ信じていればいい。まさに共産主義者を育てるパターンと同じです。これを一般的に「洗脳」といいます。自画像こそ洗脳を目で確認できる手段ではないでしょうか。非常に危険です。

・被害者意識

 (この件は記憶が薄れているので「洗脳体験」から抜粋いたします。)

************************************

 まず、「被害」をテーマに「ダイアード」を組む。相手を決め、互いの人生の中で、ゆえなく他人からいやな思いをさせられたり、傷つけられたりした体験を伝え合います。今回の相手(ダイアードを組む時は、多くの場合、その時近くに座っている人が相手になる)は30代後半の主婦。(中略)
 最初は私が「Aさん」で、彼女が「Bさん」。(注:これは、受講生全員が一斉に行います。)まず、「Aさん」が「Bさん」に体験を伝え終えると、トレーナーが「Bさん、今のAさんの話を聞いて、これはひどい、Aさんは本当に何も悪いことをしていないのに被害に遭っている、と思ったら手を挙げて下さい」と質問。
 彼女が手を挙げる。私は少し満足な気持ちになる。その後、「Bさん」が自分の体験を話し、今度は「Aさん」に同じ質問をが行われる。私が手を挙げると、彼女はほっとしたような表情になる。多分彼女の中にも満足感が生まれたのだろうと思われる。
 そこまできて、トレーナーが少し異なった角度から問いかけを送る。
 「しかし、もしあなたの人生があなたの選択であり、他人はあなたの鏡であるとすれば、あなたは知らず知らずのうちに、あなたに被害をもたらした相手に、そうするキッカケを与えていることはないでしょうか?」
 そして、そういった観点から先程伝え合った互いの体験について話し合う「ダイアード」を行う。すると、語られた体験のディテールの中に「被害」の 側が「加害」の側を誘うような要因がのまれていたように思われてくる。一方的に他人が悪いと思われた自分の被害体験のうちにも、よく考えてみると、「ひょっとしてあれが・・・・」とか「そういえば・・・・」という要素が見えてくる。
 その結果として、この対話の結論めいたものは次のようになった。
 「たしかにあなたはひどい目に遭った。だが、あなたのOOOという言動は、もしかしたら必要以上に相手を刺激いないだろうか?また、私について言えば、もしかしたら私の×××という態度が相手には不快だったのかもしれない」お互いにそのような結論に落ち着くとは限らないかもしれない。また、多分自分一人で考えていたら、このような結論にはならないだろう。しかし、体験を「共有」することで、もし相手にこちらの気付かないマイナスを指摘されても、「そういう見方があるな」と受け入れざるを得なくなり、自己の体験に客観的になれることもたしかのようだ。
 第1日目でも扱った「選択」ということにも関わってくるが、「総ての責任は自分にある」というのがセミナーの基本的な「責任」観と言える。
 また、「イヤ感」というものが取り上げられる。「イヤ感」とは、否定的な感情のすべてである。最初にトレーナーが「みなさんがこんな気持ちを味わいたくないな、と思うのはどんな気持ちですか?」と問う。会場からさっと手が挙がる。最初に指された人の答えは「悲しい気持ち」。トレーナーは「悲しい気持ち、ですか。なるほど、そんな気持ちになりたくありませんね」と言い、アシスタントに指示して、壇上の模造紙にフェルトペンで「悲しい」と記される。
 以下、次々に指された受講生たちの解答が模造紙に書かれてゆく。「こわい」「つらい」「暗い」「寂しい」「なさけない」「みじめな」「はがゆい」「ねたましい」「心細い」など。内容的に重複したものを含めて20位(くらい)の「気持ち」が書き並べられ、これらをすべて「イヤ感」と呼ぶことになる。
 そして、「イヤ感」の解消法として、「逃避」「分析」「傍観」「転嫁」「昇華」などが説明される。このうち、前4者はすべて否定的方法とされる事は言うまでもない。
 なお、この「イヤ感」という言葉は、この後もセミナーの中でもたびたび用いられ、私たちも「わかち合い」や「ダイアード」でよく使った。

************************************

 と、いう事なんですが、一つ注目していただきたいのが『「総ての責任は自分にある」というのがセミナーの基本的な「責任」観と言える。』という部分です。これは、「勧誘で起きた事件・事故はすべてあなたの責任です」という事を間接的に洗脳させているのです。実際に勧誘で受講生を相手にした人が精神的苦痛などで賠償請求をしても、セミナー側は無視し、勧誘した受講生がすべて責任を負った事実があります。

・赤黒ゲームと共産主義者

 「赤・黒ゲーム」とは、2チームに分かれて行うゲームで、ボードを使います。

+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
I I 1 I 2 I 3 I 4 I 5 I 6 I 7 I 合計 I
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
I I   I   I   I   I   I   I   I    I
IAI   I   I   I   I   I   I   I    I
I I   I   I   I   I   I   I   I    I
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
I I   I   I   I   I   I   I   I    I
IBI   I   I   I   I   I   I   I    I
I I   I   I   I   I   I   I   I    I
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

  組合せ点数

+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
I A I 赤−5 I 赤+3 I 黒−3 I 黒+5 I
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
I B I 赤−5 I 黒−3 I 赤+3 I 黒+5 I
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
   ※3回目は得点は2倍、7回目は得点は3倍になります。

 受講生は2つのグループに分かれて別々の部屋に分かれます。
 ゲームは7回戦行われ、それぞれのチームは赤・黒のどちらかを決め、伝達者を演じるアシスタントがそれぞれの相手チームに「赤か黒か」を言い、相手チームに伝えます。そして、ゲームの目的は「自分のチームの点数をプラスにすること。」というものです。たとえば、Aが赤、Bが黒をだせば、Aは3点、Bは−3点となります。
 ただそれだけのものなんですが、「目的」というのがくせもので、普通の人なら、「相手に勝つ」と思ってしまいます。よって、自分が「赤」を出し続ければ、最低でも引き分け、相手が「黒」をだせばしめたもの、自分の点数は増えます。
 よってこのゲームの攻略法は「ずっと赤を出し続ける」なのですが(実際ゲームをやるとわかります。)、その方法はセミナー側の思うツボとなってしまいます。
 トレーナーにこういわれます。「このゲームの目的は何と言いましたか。『自分の点数をプラスにすること』といいましたね。決して『相手に勝つ』とは言っていないですね。あなた達は共に負けたんです。それではどうしたら勝てたのか。共に『黒』を出し続けたら勝てるのではないですか。もし、自分達が『黒』を出し続けていたら『赤』は出しづらくなるはずです。普段の生活でも『黒』を出し続けていましたか。ある人だけは『赤』をだしていませんでしか。」と永々とこのようなことを言われます。
 ようするに相手のチームを信じて自分も相手もプラスにすれば良かったということです。さらにトレーナーは「相手と競争して自分の利益を上げるよりも相手を共存して互いに利益を上げないからこんな結果になるのです」と言います。
 「相手と競争すること」「相手を倒すこと」ばかり考えているからこんな結果になる。それじゃ、証券会社など経済の中心的人物がこの「赤・黒ゲーム」をやったら競争がなくなるのですか。これでは「共産主義」になってしまうのでは?セミナーは共産主義者の養成所なのか。
 「あなたは参加してましたか。何も言わず見学してた人は実生活でも同じようなことをしてませんか」と言われます。ようするに実生活でも同様に参加してますか?と問われます。はっきり言って大きなお世話です。
 そして、「どうしてこんな相手と競争する人間になってしまったのですか」などとトレーナーの説教が始まる。部屋を真っ暗にしてα波系統の曲をしみじみと流して洗脳してゆく。一種の音楽療法に近い事をします。セミナーではこの様な事をよくやります。
 まあ、これで2日目が終わるのが普通です。

・観念のカラ

 「人間には『観念』の殻があり、その中の真水が吹き出てこない」何書いているのか意味不明ですが、(私もわからない)「洗脳体験」のP40を見てみると...

************************************

 「私たちは誰でも、生まれながらにして多面体のダイアモンドのような可能性を持っている。だが、人生経験を積むうちに、自分をさまざまな外部とのあつれきから守り、傷つけないための行動パターンや物腰、つくろい方、装い方、観念が身につきだす。そして、それが自分の本質であるダイアモンドに垢みたいにこびりつき、その表面を覆って輝きを見えなくしてしまう。
 そのようにしてできたカラは人によっては何層にもなり、輝きを外に見せぬまま死に至る人も多い。このセミナーでは、そんなカラのあちこちをつついて穴をうがち、輝きを外に出すことをいろいろな方法で行っている。いっきにカラを外すのは危険だが、やがてすべてのカラを取り除くことも不可能ではない」

************************************

 というようなことが書いていますが、「真水=ダイアモンド」と考えてもらえばいいと思います。(ようするに観念の殻を破り、真水を吹き出させる。と考えてください。)
 考えてみれば、これもおかしいですね。「観念=個性」は誰でもわかることです。その個性を破るとは....ロボットの養成?
 真水の状態とは、観念(個性)がない状態。ようするに赤ちゃんです。たしかに赤ちゃんは個性なく感情をあらわにします。それを大人にさせるというのですから無茶なことです。
 このセクションが終わった受講者は誰でも3才児に近い状態になります。そこに前々から言っていた「勧誘」をプログラムされると、みなさんが考えている通りの結果になります。また、観念(個性)が上手に組み合わせることにより人間ができるのです。それをセミナー側はわかってませんね。セミナー側の人はもちろん観念(個性)はありません。前にも書きましたが、「トレーナー・アシスタントは生きた屍だ」「目が死んでいる。」「何かに操られている。」というのはこういう意味があるのです。
 なお、前回の「赤・黒ゲーム」で今までの生き方の一部が否定されたようなもので、今回の実習も今までの生き方を否定しているものです。ようするに白紙にして、セミナーで培ったものしか受け入れない体制にしていく。これを「洗脳」と言わず何という?

・世界が滅びる

 次に、「選択・投票」の実習ですが、これもどうもインチキ臭いものですが、内容はというと、明かりが落とされた部屋の中で受講者は二重の輪になり(フォークダンスを踊るように)お互いに向かい合います。そして、トレーナーのおなじみの語り口(催眠術)により選択・投票されます。もちろんその時には例のα波の音楽が永遠と流れています。
 トレーナーが「手を後ろに回して、投票。」といい、受講者は指を1本から4本出します。そして、出した指に応じて次の行為を行います。

1本・・・・・無視
2本・・・・・見つめ会い
3本・・・・・握手
4本・・・・・抱擁
 双方が同じ場合はその行為を、違う場合は双方の判断により行為を行います。そして、投票が終わったら、双方が左にずれ、隣の人と同様に投票します。
 始めのうちは、2か3を出す人が大多数なのですか、トレーナーの催眠術により4を出さざる状態に陥ります。トレーナーは「4を出しなさい」とは言っていないのにその状況になるのです。
 「4」を出す状況になってから3,4回ごろ、どこからかすすり泣き、ひどいときには号泣(男女問わず)が聞こえます。催眠術にかかりやすいのか、よっぽと愛に飢えていたのか、わたしにしてみれば大笑いです。
 そして、「前にいる人を『父親・母親』だと思ってください。あなたは何を選択しますか。」と言われ、「4」を出しながら号泣のオンパレード。中には涙や鼻水を垂れ流しして泣きわめき、抱き合っている相手に汚い顔を押し付けたりします。相手は全然汚いと思わないんですよね。まあ、相手もこの状況に酔っているので全然気がつきません。みなさん、この光景を想像してください。ははは、こりゃえーわ。想像するだけでも大笑い。
 また、こういうことをセミナーでは実験をします。1歩ずれ、次の人になり、投票しようかなと思ったとたん投票せず「1歩左へ」の声。あれれ、どうしてだと思っていたが、こんなおもしろい理由があるのです。「洗脳体験」P50ではトレーナーがこんなことを言っています。

************************************

 「そのままの位置で、今すれ違った相手を振り返って見てください。あなたの人生の中でこのようにして誰かと出会い、そしてすれ違ったことはなかったでしょうか。あなたがすれ違った人の顔をよく見てください。
 もしも、明日世界が滅びてしまうとしたら、あなたはその人ともう二度と会えないのです。」

************************************

 ははははは、お腹がよじれちゃう。「世界が滅びる」だって。そんなことありえないだろう。それに、セミナーでは「もしも」は存在しないのではないのですか。グランドルールの時「もしも・・・」と質問したとき、みごとに却下したではないですか。トレーナーが「もしも」を使っちゃ世話ないですな。
 はたして、この実習ははたして「4」を出す、すなわち抱擁することが正解なだろうか。「選択の実習」とか言いながら「抱擁」が最終的な答えになっているのではないかと思います。見つめ合ったり、握手することよりも抱擁することが相手を信頼できる最終的な手段であろうか。非常に疑問に感じます。
 タネあかしをしますと、指を立てる順番にあります。心理的に1本は最低の行為、4本は最高の行為と思わせます。仮に、握手と抱擁の順番を逆にすると、全員握手をするように洗脳させられます。
 余談ですが、日曜日の夜にいろいろな駅でよく男女や男どおしで抱き合っている光景を見たことはありませんか?第3者から見ると非常に無気味な光景ですが、実は、セミナーでこういう事をやっているから人前でも平気で抱き合う事ができるのです。注意して見てみましょう。私が今まで見た場所は新宿駅、東京駅、目黒駅、新横浜駅で見ました。

・カタルシスとは

 「次はカタルシスです。」とトレーナーが言う。セミナー内でのカタルシスとは、部屋を真っ暗にして、あるテーマ(第1段階では親についてしかやりません)について、不平・不満を大声で叫び、今までの自分を懐古していくという、非常に危険な実習です。なんせ、今までの自分の惨めさ、情けなさがモロに出てくるので、ひどいときには自分に失望して、自殺するという結果にもなり兼ねないのです。ちなみに前文に載せた自殺はこのカタルシスによって起こった事件です。
 大声を上げるといっても、それ以上にα波系統の音楽をガンガン鳴らすので、回りで叫んでいる言葉は絶対に聞こえないので自分の世界に入れます。トレーナーは真っ暗の部屋の中でこうつぶやきます。「今、あなたの目の前に母親がいます。言いたい事、たくさんあったでしょう。でも今までのあなたは何も言わなかった。なぜですか?憎いから?恥ずかしいから?でも今のあなたは以前のあなたではありません。生まれ変わったのです。今、ここでしか母親に何もかもぶつけることはできないのですよ。・・・カタルシス、始め!」
 受講生は一斉に自分の母親に対して不平不満ぶつけます。「こんな私にしたのはあんたのせいだー」などと。すると、何故か受講生の母親に対する態度(カタルシス内での)が低年齢化していきます。当然ですね。現在の不平不満のネタがなくなったら当然過去に移ってきます。
 これを利用して、受講生自身を3才児にもっていきます。ひどいときには生まれる前の自分になってしまう事もあります。これを約2時間叫び続け、次に父親に移り同様に2時間カタルシスをやります。受講生は喉ガラガラです。
 カタルシスが終わり、受講生を見ると、涙ボロボロです。今まで自分に一番密着していた「親」に対してこれだけ言えるというのはどんなに辛かったものか、言った後は、どんなにすがすがしいのか、終わった直後の受講生を見れば一目瞭然です。何か抜けきった顔をしています。
 ここで、受講生の頭をほぼ空っぽになります。そこて、これから話す「あなたが一番欲しいもの」の実習により、勧誘の基礎の第1歩が埋めこまれるのです。ここで3日目が終了します。

・欲しいものは何ですか?

 この実習はダイアードの一種です。テーマが「あなたが一番欲しいもの」で、ただこれだけの事なのですが、回りは今までのダイアードとは様子が違い、回りを暗くして、例のα波音楽を流します。
 そして、例のごとくAさんとBさんを決めてダイアード。今回はAさんがBさんに対して、「欲しいものは何ですか?」としつこく聞きます。Aさんは、「欲しいものは何ですか」以外は何も言ってはいけない事になっています。また、Bさんが言葉に詰まったらAさんは体を揺すったりしながらBさんに欲しいものを言わせます。
 一方、Bさんは何も考えず、心に思った事を言いなさいとトレーナーから指示があります。まあ、このセミナーは一度考えると頭はパニックしますから、受講生は最初から何も考えていません。いや、何も考えさせてくれないのです。これが洗脳されやすい要素となっていますが。
 トレーナーの合図によりダイアード開始。言われる立場のBさんは、最初は車や家、お金などの物質的なものを欲しいといいます。しかし、欲しいもののネタがなくなると、今度は精神的なもの、たとえば、愛情や思いやりなどです。
 ここで涙する受講生はたくさんいます。受講生は頭が真っ白になり、思わず心にない言葉を言ってしまいます。それが一番欲しいものだとセミナー側では解釈しています。
 そしてトレーナーの指示により、AさんとBさんは逆の立場となり、同様のことをします。
 さて、この実習は「勧誘の第1歩」と言いましたが、どういう事かと言いますと、「欲しいもの」とはただのダミーで、実は、ある言葉を数時間も同じ事を聞かれると精神的にかなりダメージを食らうことができるという実習です。頭の中が真っ白になるということは精神的に混乱している状態に匹敵します。
 仮に、「欲しいものは何?」を「セミナーやろうよ」に言葉を変え、これを数時間にわたり、言い続けるとどうなりますか?もうお分かりのとおり、「勧誘の軟禁状態」となるわけです。
 数時間、友達を軟禁状態にして「セミナーやろう」と言いつづけ、最初は嫌がってた友達も最終的には精神的な混乱から(早くこの場から去りたいため)セミナーの道へと引きずり込まれます。勧誘者のパワーは、この実習から生まれたのです。
 この方法も勧誘のテクニックの1つとなる訳です。もちろん受講生は興奮状態なので誰も気付いていません。しかしすでに勧誘のプログラミングは着々と作り上げていきます。

・アシスタントのわざとらしい演劇会

 セミナーの第1段階も終わりにさしかかり、何をやるのかなと思っていたら、トレーナーが「これから、アシスタントが一芸を見せます。」とのこと。ラインダンス・どじょうすくい・女性は服を脱いだり、など素面じゃとてもできないようなことを平気にやってしまいます。もちろんトレーナーの指示の上です。「もしかして、セミナーを最後までやると、ああなるのでは?」
 この実習は第2段階で行う「ストレッチング」というもので、ようするに、あるテーマにのってその姿を演ずるというものです。詳しいことは第2段階で説明します。
 あぜんとする一方「人間やろうと思えば何でもできる」という恐怖に陥ります。もしかしたらトレーナーが「覚醒剤はいいものだからやりなさい」なんて言ったら平気でやっちゃうのかな?言わずと知れてますが、アシスタントは相変わらず目が死んでいます。

・受講生だましのグラジュエーション

 さて、最後(グラジュエーション・卒業)ですが、これも笑える。真っ暗の部屋の中で、受講者は目をつぶり、移動させられます。そして、トレーナーは、この4日間のセミナーを懐古するように話し、涙する人多数。
 しかし、落ち着いていると、何か物音が...そのうえ、自分の前には人の気配!何かなと思っているうちにトレーナーの声。「それではゆっくり目を開けてください。」
 目の前には花束を持った紹介者が立っています。すごい演出ですね。受講者よりも紹介者が喜んでいる不気味な世界です。(理由は第3段階の時に説明します。これも笑える。)受講生は「ありがとう、ありがとう」としか言えない状況です。ここで喜んでいる人たちはもう洗脳されています。かわいそうですね。
 まあ、ここで総評とか言うんでしょうね。私からみればバカバカしいものです。そして、全員打ち上げの会場へ。バンドの演奏があるのですが、ヘタクソのくせに、第1段階が終わった受講生達はまるでコンサートでもやってるかのように盛り上がります。もちろんここには一般市民(お客)もいるのですが、すごい迷惑顔。
 私も一度行ったのですが、まるで宗教団体かのような盛り上がりでした。(バンドの人が教祖様みたいだった。)隣の人は「うるさいね。」といっていたのですが、一般市民の共通した意見ではないでしょうか。

 日曜日の夜11時半頃、歌舞伎町(コマ劇場周辺)に行くと、花束を持った集団がうろうろいます。その人は間違いなくセミナー関係者ですので指をさして笑ってあげましょう。「あっ!!セミナーの人だ」とね。

 こいつら、月曜の朝大丈夫なのかな?