学校教育相談を継続していくために



は教育相談の専門家でなければできないような学校教育相談ではだめだと日頃から思っています。教員としての常識、あるいは教育相談に向いている先生であればできる程度の学校教育相談体制の構築をめざしています。

学校の分掌の中でも、教育相談係は特別な力量が必要と考えられがちなのですが、その考えられ方が教育相談の学校現場への普及を妨げていると思います。別のところでも書いてますが、専門的な心理療法をするのではなく、大人として教員として常識的に生徒に向き合い、生徒の相談に乗ったり支援したりすることで十分学校教育相談の機能は果たせると思います。

ただ、私自身は結果として、特別な専門家になってしまいました。教員生活のほとんどで教育相談活動に携わり、教員の研修(国内留学)で臨床心理学を学び臨床心理士、学校心理士の資格をとってしまいました。私は県下でも教育相談のパイオニア 的な存在になりたかったので、そのような勉強や資格が必要だと思ったのです。

ただ、私のような教育相談の専門家的存在がいないとできないような教育相談体制は、よくないと思います。

そのためにはどうしたらいいか。それは、組織的連携的な学校教育相談体制をつくってしまい、教育相談係の教員が入れ替わっても、体制がかわらないようにしておくことが一つの方法です。

そのためには、例えば以下の方法があります。

教育相談係の分掌の確立、部屋の確保

  人が入れ替わっても継続する学校教育相談体制にするために、まず、教育相談を一つの係として校内に位置づけてもらうことです。それと同時に、教育相談のための部屋を確保することです。私は赴任するたびに、その学校に教育相談の係をつくってくれるよう、管理職にお願いしています。管理職も近年、生徒への心の対応の重要性を認識しており、ぼくの提案はこれまでは受け入れられ、教育相談係がつくられることが多かったです。また、ぼくは、校内人事の希望に、別の係と兼務でもいいので、教育相談の係をさせてくれ、と必ず書くので、必ず教育相談係にしてもらえます。

近隣臨床心理学系大学院との連携

教育相談を永続的にしていくための方法の一つとして、近隣の大学なり専門機関との連携体制を構築することも重要です。たとえば、これはある高校がやっていることですが、近隣の大学院に臨床心理学コースができたことをきっかけに、その大学と提携し、教育相談のためのボランティアスタッフを派遣してもらうことなどです。   

チューター制の導入

チューターとは、個別担任という意味で、クラス担任以外に生徒が個別に関係を結ぶもう一人の担任です。そのような教育相談上の制度的な充実を図ることも教育相談体制を永続的なものにするための一つの方法です。首都圏のいくつかの高校で、行われています。

 

連携的校内支援体制

 特別支援教育では、各校にコーディネーターを置き、校内委員会をつくることになっています。それを実質的なものにし、教育相談のコーディネーターも兼ねさせることで、連携的な校内支援体制がつくられます。

 

年間行事の中に教育相談関係の予定を入れる

 保護者のための教育相談講演会、生徒のための教育相談の集会、職員研修としての教育相談等を年間行事予定の中に入れてしまうことで、それが永続的に行われ、教育相談が充実します。

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