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いじめ対応の原則
new 〜いじめを予防し、解決する簡単な方法〜 |
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いじめの問題が周期的に数年に1回話題になります。あいかわらず、いじめ対応の原則が浸透していないのを感じます。 でも、いじめ対応は原則を守れば、簡単です。 「いじめが簡単に解決できるか」と思われるかもしれませんが、できます。 逆に、いじめ対応が特殊な能力を必要とし、特殊な方法でなければできないようでは困ります。 いじめ対応は以下の原則ですべての教員ができるはず。 最初に原則をあげます。
原則1 アンテナを高くして、いじめを教員が見逃さない、いじめの徴候段階で、いじめを未然に防ぐ。 原則2 いじめのきっかけが、いじめ被害者の脆弱性や欠点にある場合でも、いじめ被害者を全面的に守り、いじめを解決するという姿勢を貫く。 原則3 いじめ被害者をいじめや報復から絶対に守り抜く。 原則4 いじめ加害者を徹底的に指導しきる。 原則5 日頃からいじめは絶対許さないという姿勢を学校で教員がとり、児童生徒の前で宣言しておく。
原則1について アンテナを高くして、いじめを教員が見逃さず、徴候段階でいじめを防ぐことはとても大事なことです。 いじめの徴候として、以下のことがあります。以下のことがあったら、それをする児童生徒に対して直ちに厳しめに注意することです。 @ある生徒をへんなあだ名で呼ぶ。 Aある生徒に「きもい」とか「うざい」とかいう。 Bある生徒をわざと避けたり、その生徒が触れたものを汚い物にさわるかのように振る舞う。 Cなんとなく、クラスや集団が変な目つきで教員をみる D教員の存在を確認したら、突然生徒集団の雰囲気がそらぞらしくなる。 E生徒同士の関係のあり方が、悪ふざけのようにみえ、度を超えている。 これらの徴候に俊敏に教員は気づき、「そんなこと言っちゃだめだ」と注意したり、違和感を感じる生徒を呼んで個別に話をすることです。それだけで、いじめ加害者になりかけた生徒に反省を促すことができます。教員一人でそのようなことがやりづらい場合、教員がチームを組んであたります。
原則2について いじめのターゲットになりやすい生徒は、いじめられやすい脆弱性を持っていたり、独特な弱点をもっているものです。そのため、とかく教員は、いじめ被害の生徒から訴えがあった場合でも、「いじめ被害の生徒にも問題がある」と考えてしまい、きちんと対応しなかったり、対応が遅れます。だから学校はなにもしてくれなかったとなるのです。あるいは、警察が入らざるをえなくなるのです。
でも、いじめ被害の生徒に、脆弱性や弱点があるからといって、いじめが許されていいのでしょうか。 いじめ被害生徒の弱点や脆弱性の問題は、いじめ対応とは別の文脈で指導がなされるべきです。 いじめ被害の生徒の脆弱性といじめ事件を混同して対応する、教員が多いような気がします。
いじめ被害生徒がいじめを訴えてきたら、次のことをしてください。 @いじめ被害の生徒の立場に立って、よく話をきいてあげること。 Aいじめからその生徒を守り抜くとその生徒に宣言すること。 B今までいじめに気づかず苦しませてきたことに謝罪すること。 Cいじめをどのように解決していくか、いっしょに考え話し合い、作戦を立てること。
そして、いじめ被害の生徒の弱点や脆弱性の指導は、いじめが完全に解決したあとで、別の文脈でなされるべきです。
原則3について 当然、いじめ被害生徒をいじめから全力で守ることが当然大切です。以下の方法で守れるし、いじめを解決できます。 @いじめ被害の生徒にいじめの状況をきき、いじめ加害者への対応や介入についていっしょに作戦をたてる。 以下、作戦です aいじめ加害者を呼び出し、厳しく指導する。 bいじめ加害者を呼び出し、率直に話をし、お互いのためにいじめ的な行動をやめるように指導する。 cいじめ加害者を呼び出し、いじめの話題に触れずに、加害者の近況をきく。これだけで、いじめ加害者の生徒は自覚したり、反省したり、いじめをやめる場合があります。たいてい、教員に呼び出されただけで、生徒はいじめのことで呼び出されていると気づきます。 dいじめの場面に偶然出くわすフリをして、いじめを発見して、その場で指導する。
a、b、cの方法は、いじめ被害生徒が、先生に告げ口した(チクった)と言われ、加害者に報復されたり、さらにいじめがエスカレートする可能性もあります。
A報復やいじめのエスカレートから断固守り抜くことを約束する。 私の場合、その約束の担保として、定時制高校ということもあって、自分の携帯電話を教え、いじめ加害者に遭遇したりしたとき、24時間体制でいつでも駆けつけるから、と言います。携帯電話番号を教えただけで、その被害生徒は安心し、いじめの詳細を語り出します。そして、実際は、夜中にその生徒から呼び出される等のことは1度もありませんでした。
Bいじめの様子について、それとなく信頼できる生徒や他の教員に尋ねるなどして、状況をより客観的に把握する。
C改めていじめ被害生徒に確認し、作戦の実行と報復から守り抜くことを確認し、加害生徒の指導に入る。
D指導後、いじめの状況がどうなったか、いじめ被害生徒に様子を聞く。状況次第では第2の作戦を立てて実行する。
原則4について いじめ加害者の生徒も、人をいじめてしまうなんらかの理由や背景があるものです。家庭環境が悪い、ストレスの強い状態に置かれている等です。教員がいじめ加害者の立場に立って、率直にいじめをやめるように指導すること、さらに、加害者自身の悩みにも耳を傾けるようにすれば、意外とこじれずに、いじめは解決していくものです。 あるいは、加害者はとかくいじめ被害の生徒のことを悪くいい、被害生徒に原因があるかのように言うものですが、それは教員の方で指導するから、だからといっていじめやいじめ的行動をしても自分が損するだけだから、というように説諭します。
原則5について 日頃から、担任として、教員として、いじめは絶対に許さないという姿勢をクラスや生徒集団に宣言することです。そして、いかなる場合もいじめ被害生徒を守り抜くという決意します。それだけで、いじめ予防になります。 さらに、日頃から、生徒の立場にたって、よい教育を行っていくこと、生徒から信頼を得ていることです。
※私は上記の原則で、いじめを何回か解決しました。ある生徒は、「中学までは先生たちにいじめを訴えてきたけど解決したことはなかった。先生(私)に相談したら、あっという間にいじめが解決した。不思議だ」と 言っていました。 上記の対応はいじめ対策の最善の対応方法だと思ってます。そんなに難しくありません。 医療の世界には、ある疾病に対してまず第1に処方すべき、第1選択薬という概念がありますが、私にしてみれば、上記方法はいじめ対策の第1選択方法です。
◎ネット いじめについて 最近は、ネットの世界も、生徒たちが関わるもう一つの世界のようで、現実世界とネット世界がからみあった、いじめが起きてます。 ネットの絡むいじめも、現実のいじめと同様の対応でいいのですが、ネットいじめ独自の留意点があります。
留意点 @教員も生徒がやっているネットやSNSについて、ある程度知識が必要。自分でも、SNSをやって体験していいないと、生徒のネットいじめの訴えがよくわからなくなり、対応が遅れる可能性があります。フェイスブック、ミクシ、ブログ、ラインなどがあります。 A生徒へのネット上の書き込みに対して、以下の注意を日頃からして、ネットいじめを予防する必要があります。 aネットでは悪口は書かないこと。書き込みとして記録が残り、消せなくなり証拠となり、悪口を書かれた相手にみられ、相手を傷つける。教員への証拠にもなりやすいこと。 bマイミクなど、他者が入ってこないコミュニティでも悪口を書かないこと、マイミクやコミュニティは拡大し、メンバーのだれかが悪口を本人に知らせたり、教員に報告する可能性が高いこと。 cネットでは会話のように、ついついグチや悪口が出てしまうが、会話と違い、記録に残ることを再認識すること。また、ネットの書き込みではついつい表現が過激になりがちであること。
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