奇妙な祭り
夜の闇を通り抜けた
微かな花火の音に誘われて
僕は布団を抜け出した
家族に気付かれないように
こっそりと
両手に百合の花束を抱えた
小さな小さな女の子に導かれて
星屑のかけらを拾い集めながら
闇の中に浮かび上がった
鳥居をくぐり抜け
虚ろな人込みに身を預けた
気がつくと
小さな小さな女の子と
はぐれてしまったみたいだ
凄く不安になった僕は
小さな小さな女の子の名前を呼ぶ
けれど僕は
あの女の子の名前を知らなかった
僕は15才も若返って
泣きながら母親の名前を呼んだ
僕の肩に手をおいたのは
孤独なペンギンだった
彼は言う
「いい年をして、何を泣いてるんだい?」
いつの間にか僕は元の年令に戻っていたようだ
聞きもしないのに孤独なペンギンは続ける
「僕はこのフェスタに招待されたんだ」
フェスタ?なんて生意気なペンギンなんだろう
「君と同じようにね」
僕と同じ?なにを言っているんだろう・・
「ん?君・・・大丈夫?」
孤独なペンギンに心配されるおぼえはない
邪険に孤独なペンギンの手を振りほどいて
僕は奇妙な祭りの
虚ろな人込みの中へ足をすすめた
奇妙な祭りはまだ始まったばかりだ
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