ごあいさつ 院長 佐藤俊一
皆様いかがお過ごしでしょうか?
最近の世の中の動きをみるに、まことに「憂き世」の極みですが、せめて桜の咲く時だけでも「浮世」で遊ぶ気持ちの余裕を持ちたいものです。
我が家にチャッピーというパピヨンのオス犬がいます。実は、娘が犬を欲しくてかったのですが、殆ど私が散歩に連れて行っています。犬と散歩していて思うのは、同じ場所であっても私と彼とでは見える景色がまるで違うという事です。 まず目線の違い。彼は地上20cmの視点で外界をとらえています。子供が三輪車に乗って近づいてくるのは彼から見れば、まるで戦車が襲ってくる感覚でしょう。
決定的に違うのは臭いの世界です。犬は人間の何千万倍もの嗅覚が発達しているといわれています。散歩中しきりに周囲を嗅ぎまわっては探索し、自分の存在を誇示するために小便をかけまくっています。公園でメス犬に出会えば、彼の優雅な姿とはうらはらに突如つつしみを忘れ、本能のままに振舞うのはメス犬の放つフェロモンには抗しがたく、どうしようもないのでしょう。
昆虫の世界でも、空中を漂うごく微量のメスの臭いが遠く離れたオスを惹きつけます。
このように他の動物では種の存在にかかわる重要な嗅覚が、人間では視覚が発達したせいかむしろ退化していったようです。ただ、匂いを扱う職業に携わる人は訓練などにより嗅覚が研ぎ澄まされます。香料の微妙な香りをかぎ分ける人などの例を知ると、人間は決して嗅覚が鈍感ではないと思います。
人間が密集して生活するようになり、特に現代の都市生活者では、例えば満員電車の中など文字どうり「はなつき合わす」近距離では、体臭などの臭いは不快なものとして遠ざける傾向にあります。 異性を惹きつける臭いは、香水などの代用品にとって代わられ、相手に不快感を与えない事が最低のマナーとされてきました。
今回お話する口臭も体臭のひとつと考えていいのではないでしょうか。
<歯科衛生士のコーナー> 口 臭
誰でも人から「口が臭いと!」と言われたら嫌な思いがしますよね。勿論、相手にも不快な思いをさせてしまうことになります。
口臭を自覚するのは、他の人から言われて気にするものだと思います。口臭は口と鼻がつながっていることで、自分の臭いには慣れてしまって殆どの人が自分ではあまり気付かないものです。反対に、他人からはなんともないのに、ご自分で口臭を気にされ、歯科医院などに相談される方がいらっしゃいますが、その殆どが思い込みによるものです。ご自分で気にするあまり、他の人が鼻と手でおさえたり、顔をそむけたりするといった動作に誤解して、「口臭があるのではないか?」と思い込み、神経質になった結果なのです。こういう方は医師に「気にしすぎ」と言われても中々に納得してくれません。
誰しもまったく口の臭いがないという人はいません。朝目覚めたときや緊張して口の乾きをおぼえるとき、女性における生理時、加齢にともなうものなど、代謝や口腔内環境の変化によって生じるものであり、生命現象ともいえるものです。誰もが持っている臭いなのでお互い口臭とは感じないのです。それでも気になるようだったら、人と会う前にうがいをすることをおすすめします。
それ以外に、全身疾患が原因で口臭がする場合もあり、末期ガンの患者さんは独特の口臭がします。そしてなによりも一番大きな原因は、歯周病や虫歯による口臭です。
これらのことは、口の中を清潔にしていれば、出てこない問題です。口臭予防に一番大切なことは歯ブラシをすることなのです。
口の中に虫歯も歯周病もなく歯ブラシもきっちりしているのにまだ口臭が気になる方は舌を磨いたことはありますか?薬局などで見かけたことがある方もいらっしゃると思うのですが、「舌ブラシ」というものをご存知ですか?舌を磨くためにはこの「舌ブラシ」が最も効果が出てきます。
図1を見てください。舌ブラシを使って舌を磨くだけでこれだけの口臭予防になります。
舌も口の中にある以上、歯と同じように細菌がついてきます。それをほっておくとやはり口臭の原因になってしまうのです。
では具体的にどのようにすればよいのか説明していきます。
「舌ブラシ」の使用方法」
舌の上には多くの乳頭があり、表面はカーペットの様にザラザラしています。その隙間に入り込んだ舌苔を除去するための器具がタングクリーナーです。
使用方法は、舌の上にタングクリーナーをのせておくから手前に向かって軽く2〜3回動かして舌苔を除去します<図2>。
その後口の中をよくすすいでください。この時、過度に舌の表面を擦りすぎると舌の表面を荒らしてしまい、かえって舌苔が付きやすくなってしまう危険があるので、軽く行うのがポイントです。また、熱、風邪、咳などの症状がある場合は使用を中止してください。
このように舌苔を除去することは口臭を予防する手段のひとつですが、他の原因で口臭が発生する場合もあるので、舌ブラシの使用方法や口臭についてご心配な方はお気軽に歯科医師、歯科衛生士までご相談ください。
最後に、一般的に口臭として最初に思い浮かぶのは、きっとニンニク、ニラ、ネギ、そしてアルコールなどの臭いが残る飲食物だと思います。たしかにこれらの食べ物を前日に食べていると口臭はあります。なので、できるだけ歯科医院に来られる前日はひかえてもらえると口元に一番顔を近づけることになる私達も助かるかな
『 特別寄稿 』 樋口恵美子
「はじめに」 サトウ歯科 佐藤 俊一 虫歯や歯槽ノーローなどの歯科疾患の大部分は「生活習慣病」のひとつと考えられます。病気に罹りやすい体質があるとしても、毎日の生活習慣がその原因に大きく関わっています。そのような生活習慣病をなおすためには患者さん自らが治そうとする意思と実践が必要であり、我々歯科医療スタッフはそれを手助けするに過ぎないと思い知らされる事があります。健康管理には患者さんと医療スタッフのたえざるコミュニケーションが大切であり、望ましい両者の関係も一朝一夕にできるものではないこともわかります。 今回、特別に寄稿していただいた長年の患者さんである樋口さんの文を読んでいただければ、そのことがヒシヒシと感じられます。
樋口さん。お忙しいなか、快く原稿をお引き受けいただきありがとうございました。
*** 佐藤 先生と私 ***
私と佐藤先生との最初の出会いは、私が22歳で結婚と同時に九州の佐賀から大阪の放出に出てきてすぐに歯が痛くなり、たまたま主人の会社のとなりにウスキ歯科があり、そこに行くと佐藤先生がパートで勤務されていたのがそのご縁です。ウスキ歯科には何回か通いその度に佐藤先生に治療していただいたとおもいます。
7年ほどして鴻池新田に引越ししました。子供が2人生まれ、毎日が忙しくまた、甘いものが好きな私は虫歯や歯槽ノーローになり、ウスキ歯科の先生が東京にいかれた後、佐藤先生が後を継がれてサトウ歯科になっていることを主人に聞き、子供2人連れてたずねていきました。
佐藤先生も結婚なさっていて、長男さんが1人おられ、私の長男と同じ年でした。それからは歯の治療に行くたびに奥様にも良くしていただき、先生の子供さんと一緒に良く遊んでもらった事が懐かしい思い出です。
今では、長女は32歳になり、11月には4人目の子供が生まれます。長男は30歳でまだ独身ですが、カメラマンでがんばっており、いまでも二人とも佐藤先生に歯の治療をしてもらっています。先生の子供さんも長男さんはホテルニューオオタニに勤務されていて、次男さんがサトウ歯科を継がれる予定で、私も本当に幸せを感じております。
先生との出会いから38年になります。一口に38年といってもいろいろあり、長いようであっという間の短い年月であったような気がします。
私は今でこそ本当に歯を大切にしていますが、最初から大切にしていたわけではありません。虫歯や歯槽ノーローで先生にお世話になっていてもあまり歯をみがかないし、甘いものを食べるので先生が「樋口さん毎日どんな食事をしていますか、毎日食べた食事を記録してはどうですか」と言われたこともありました。治療しても治療しても虫歯になるので、もう歯医者に行くのはやめようかと思った事もありましたが、佐藤先生にお世話にならなかったらもっと歯が悪くなると自分で分かっていましたので、歯が痛くなる前に自分からすすんで歯の治療にいくようにしました。
今から15年位前、近所の人達に我が家に来てもらい、佐藤先生に歯の治療と予防というタイトルで講演をしていただきました。本当にありがとうございました。この事があってから、私はもっと歯を大切にしようと思うようになり、それまで定期検診もあまり熱心でなかったのですが自分ですすんで診てもらうようになり、歯科衛生士の今治さん・山崎さんとの出会いも私を大きく変えてもらいました。お二人とも本当に手取り足取りで熱心に歯みがき、歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスなど、毎月の歯みがきチェックと親切にしていただき、私もそれに応えていこうと、毎夜30分かけて歯みがきの練習をしました。あまり一生懸命して右腕が腱鞘炎になってしまい左手でみがいたりしました。
なんでも一生懸命すれば上達するものですね。今では歯みがきが大好きで「歯みがきの名人」とか言われて喜んでいます。孫が泊まりに来たら3人の孫の歯をみがいてあげなければ気がすみませんのでそうしております。
今は、松本さんに毎月歯みがきのチェックをしてもらい、フッ素をぬってもらっております。松本さん、上野さんこれからもよろしくね。
私の人生を振り返って佐藤先生との出会いはかかりつけの歯医者さんという意識でもなく、なんだろうと考えたら、今までそんなに深く考えた事はなかったような気がします。あまり近い存在で気がつかなかったかも知れませんが、今こうして文章を書いてあらためて佐藤先生にありがとうございますと心から感謝せずにはおられません。
今元気で生活できるのも歯を通して健康管理してきたからではないかとあらためて発見しました。
80歳まで20本は自分の歯を残そうといわれています。私もそのように80歳になった時に20本残せたといわれるようにがんばってまいります。佐藤先生これからもお世話になりますでよろしくお願いします。
放出の駅も高架になる工事を進めており、何年か先には今の放出の駅の周辺もすっかり新しく生まれ変わることでしょう。新しい駅前から新しく新装されたサトウ歯科へと今から希望の幸せが待っているようです。先生から息子さんへと継承されていくサトウ歯科へ心から応援をお送りいたします。
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