サトウ歯科だより
2003−4 第34号


ごあいさつ: 院長 佐藤俊一

フッ素で虫歯予防




 

 

 

 

 

 

ごあいさつ 院長 佐藤俊一

この世に生まれて60余年、はじめて今年は「花粉症」になりました。
はれて「花粉症クラブ」の仲間入りとなり、同病の方の苦しさを身にしみてわかるようになりました。
今や、10人に1人の割合だそうですが、実感としてはもっと多いような気がします。
皆様はいかがでしょうか?
また、「SARS」なる原因不明の病気が世界中に猛威を振るっていますが、もしこれが日本に上陸したならば、私なんかは体質的に真っ先に感染してしまいそうな予感がいたします。  

ところで、地元の方々はご存知のように、放出駅が新しくなり、また、近くではどこかで道路や建物の工事がおこなわれています。放出周辺地区の土地区画整理事業も日々だいぶ目に見えるようなかたちになってきました。  
サトウ歯科の建物も前面道路拡張のため、いずれは移転しなければなりません。
市の担当者の話では、東隣地に移る予定ですが、現在地よりも敷地が狭くなり、日照も悪くなりそうなので、その対応策に頭を痛めている最中です。  
サトウ歯科がなくなるのではないかという噂もあるようですが、それはありません。
院長の私も幸い健康にも恵まれ(花粉症以外は)、後継者のめどもつきつつあるので、伝統ある「サトウ歯科」が決して消滅する事はありませんので、他事ながらご安心ください。  

 

 

 


 

 



 
フッ素で虫歯予防!   (歯科衛生士 上野貴子)

皆さんは「フッ素」という言葉聞いた事がありますか?CMでも、フッ素コートやフッ素入り歯磨き粉という言葉が出てきますので、一度ぐらいは耳にしたことがあるかもしれません。さまざまなところで耳にするフッ素ですが、では「フッ素」とはいったいどんなものなのか。ここでフライパンのフッ素樹脂加工や、フッ素コートの説明をしてもあまり意味がないと思いますので、今回は歯科の分野での「フッ素」についてお話していきたいと思います。 

現在サトウ歯科では、子供から大人まで、さまざまな年代の方に、必要に応じて「フッ素塗布」というものを行っています。口頭で難しいことや専門的なことをお話してもわかりにくい部分が多いと思い、私たちは「虫歯予防(もしくは知覚過敏の予防)のために、フッ素(お薬)を塗りますね」とお話しています。

フッ素とは一体どんなものなのか。お薬と聞くだけで、身体にどう影響するのか心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、フッ素は身の回りにある土や水、草や木などの植物、いろいろな動物はもちろんのこと、人間の身体にも例外なくフッ素は含まれているのです。私たちは、毎日の食べ物や飲み物から、自然と身体にフッ素を取り入れています。(図1)

しかし、食べ物や飲み物から取り込むフッ素は歯に作用する事なく体内に入り吸収されてしまうため、それだけでは今回お話する「虫歯予防」としてはあまり効果がありません。そこでなんらかの形で、歯に作用するようにフッ素を補う必要があるのです。

そのなんらかの形の一つがフッ素塗布になります。

 フッ素の利用には、いろいろな方法があります。ご家庭でも簡単に取り入れられるのが、フッ素入り歯磨き粉の使用や、サトウ歯科では取り扱っていませんが、フッ素液での洗口方法です。その他に、ご家庭でのフッ素塗布も効果的です。(※フッ素洗口やフッ素塗布は必ず専門家に使用方法をお聞きの上利用してください)ただ、フッ素はお口の中をきれいな状態でうがいや塗布をしないと、効果が弱まるため、ご家庭での使用には限界があります。また、フッ素入り歯磨き粉も、フッ素は口の中に浸透させた後、30分程口をゆすがず放置して効果が得られるものなので、口の中が泡だらけになり口をゆすがないと気持ち悪くなるは歯磨き粉も効果が弱まってしまいます。

 そこでご家庭での限界を補う意味でも、年に最低2回は専門家によるブラッシング指導とクリーニング、そしてフッ素塗布を行うのが理想です。ご家庭でのフッ素の利用と歯科医院や保健所等でのフッ素塗布をすることにより、より一層の効果がえられます。

 <フッ素の効果>

ではどうしてフッ素で虫歯が防げるのでしょうか?少し難しいお話になりますが、フッ素を作用させると、歯の表面から取り込まれ、歯の結晶(アパタイト)の一部なります。フッ素を含んだ歯の結晶は、普通の歯の結晶よりも丈夫になり虫歯菌の出す酸に対してより強くなります。ですからフッ素を適切に使うと、歯の表面が強くなり虫歯になるのを防ぎます。

ただあくまでも「虫歯予防の1つ」という事ですので、フッ素を塗ったからといって、虫歯が治ったり、虫歯にならなくなるわけではありません。フッ素だけを過信してしまい、そのほかの予防を怠ってしまうと、虫歯を作ってしまいます。予防というのは「なりにくくなるためのもの」と考えてください。

 <虫歯のはじまり> 

それでは虫歯は一体どのようにして出来るのでしょうか。

人の口の中には多くの細菌がすんでいます。その中のミュータンス菌などの虫歯菌が、糖分を養分にしてネバネバした物質をつくり、その中で虫歯菌が増殖し、プラーク(歯垢)をつくります。(図2)

 

飲食をすると、その直後から虫歯菌が糖分から酸をつくりだして、プラークが酸性になります。この時歯の表面(エナメル質)を溶かし、カルシウムやリン酸が奪われます。この反応を脱灰といいます。(図3)
しばらくすると唾液の働きにより、酸が中和され、カルシウムやリン酸が歯の表面に戻ってきます。これを再石灰化といいます。(図4)

 飲食のたびに脱灰と再石灰化が繰り返され、脱灰が優勢になると再石灰化かが追いつかなくなり、虫歯へと進行していきます。

 <フッ素以外の虫歯予防>

@シュガーコントロール

糖分の摂取回数を控えめにし、虫歯菌の養分になるものを少なくすることで、菌の繁殖を抑える事ができます。代表的な糖分には、食べ物や飲み物に含まれる砂糖(ショ糖)や果物に含まれる果糖やブドウ糖などがあります。糖分の含まれる食べ物や飲み物をとる回数が少なければより虫歯になりにくくなります。

 Aプラークコントロール(歯みがき)

虫歯菌を減らすには、ブラッシングが最も一般的な方法です。正しいブラッシングによって虫歯のすみかになるプラークを取り除きます。食べ物のカスがついたまま、24時間経つと、歯の表面では虫歯菌がかなり繁殖します。とくに寝ている間は、唾液の流れが弱いので、歯のエナメル質から溶け出したカルシウムやリン酸が補われず、危険な状態が長く続く事になります。歯みがき指導をする時に、1日1回最低でも寝る前(もしくは夕食後)だけは必ず磨いてくださいというのはこのためです。

 今回、フッ素の事を中心に虫歯予防のお話もあらためて書いてみましたが、何よりも強い歯を作る基本としては、普段の食生活で充分に栄養のバランスがとれた食事をし、よく噛んでで食べる事が大切です。