サトウ歯科だより |
健康寿命 院長 佐藤俊一 去る9月15日夜。大阪では阪神タイガースが18年ぶりの優勝に沸き立っているころ、新潟で「美咲」と呼ばれることになる1人の女の子が誕生いたしました。それはまた、私にとって初めてオジイサンになった瞬間でもありました。奇しくもその日は「敬老の日」。記念すべき日となりました。 統計によると、今65才以上が人口の19%。私が65才になる2年後ではおそらく20%を超えるでしょう。また、100歳以上のお年寄りが2万人を超えたという記事もありました。5年前の2倍以上の増えかただそうです。まさに高齢化社会の到来。当然、平均寿命も延びつづけ、男77.9歳、女84.8歳で、これは世界のトップであり、日本が世界に誇っていい数字だと思います。 ただ、長く生き長らえても、病気などで他人の世話になりたくない、自立して長生きしたいと誰しも望むものです。そこで、「痴呆」や「寝たきり」の時期を平均寿命から差し引いた「健康寿命」なる概念がでてきました。平均寿命と健康寿命の差が少ないほど人生の質(クオリティ オブ ライフ)が高いということで、いかにして健康寿命を延ばすかがこれからの個人や社会の課題となるでしょう。 厚生省の調査では、男が1、6年、女2、8年が介護などを必要とする期間とされています。 一方、WHO(世界保健機関)では別の観点から健康寿命をとらえています。 200カ国近いデータより一部を抜粋して紹介いたします。 この表にある不健康期間の%とは不健康期間(年)を平均寿命で割ったもので、一生のうち何%が不健康な生活を余儀されているかの割合です。 この表でも日本は世界一ではあるが、先進国でさえも不健康期間は男6~7年、女8〜9年あることです。この理由としては、寝たきり入院以外の長期入院や交通事故、戦争などによる不慮の事故もこの中に含まれているものと推察されます。 この表をみて気づくことは、大国アメリカの女性は人生の13,5%の期間が不健康である事は意外だったし、また、ロシアでは平均寿命の男女差が大きいのが目立ちます。これはロシアの男がウォッカを飲みすぎるのが短命の原因といわれています。 アフガニスタンをみると男の平均寿命が短いうえに、さらに短い人生の実に四分の一が不健康である事がわかります。アフリカのザンビアにいたっては、平均寿命は30代、健康寿命は30才になったばかりということです。 これをみても、その国に生を受けたというだけで、すでに自分の人生の長さが決定されるという不条理さに痛感させられます。 私たちはたまたま今の日本に生まれたという幸運に感謝しなければならないでしょう。 註、以上の話はホームページで「健康寿命」を検索した資料をもとにまとめました。
キシリトールガムについて ここ数年、コンビニ等で売られているガムを見ているとその大半がキシリトールガム、詳しくはキシリトール配合ガムが置かれています。サトウ歯科でも受付に置いてあるのに目をとめて、キシリトールについて質問されたり、購入される方が増えてきました。 コマーシャル等で大々的に宣伝され始めてから、虫歯予防にキシリトールがいいという意識も広まり、たぶん殆どの方がガムを買う時に、虫歯予防になるならとキシリトール入りのものを選ばれることが多くなったと思います。 お店にたくさんありすぎるぐらいのキシリトールガム。皆さんはどんな基準で選ばれていますか? 好みの味やメーカー等あるかと思いますが、中には、キシリトール以外に虫歯になる成分が一部含まれていたり、キシリトールが入っていないシュガーレスガムもありますので、よりいいものを選んでいただくために、今回はキシリトールガムについてお話したいと思います。 ■キシリトールガムの効果■ 虫歯予防に役立つ効果として2つあります。 まず1つは、噛むこととキシリトールの甘さにより唾液を出させる効果です。唾液量が増えることにより食事後の口腔内の酸性度が薄まることです。 2つめは、プラークの中のミュータンス菌を減少させ、酸生成を抑制する効果です。ミュータンス菌は、通常糖を取り込みエネルギー源として酸を生成します。この酸が虫歯の原因となります。しかし、ミュータンス菌は、キシリトールを取り込んでも酸を生成できず、弱ってしまいます。(図1)
しかし、キシリトールガムを噛んでいるからといって、歯磨きをしなくともよいことにはなりません。キシリトールはミュータンス菌を減少させ、酸の生成を抑制しますが、歯の表面からプラークを完全には落としてはくれません。歯の表面についている粘着性のあるねばねばしたプラークは、キシリトールによって落ちやすいサラサラのプラークになっています。そのため、歯磨きで簡単に取り除くことができるので、ブラッシングの効果もあがります。 ■キシリトールって何?■ キシリトールって言葉は知っていても、それが一体どんなものなのか知らない方のほうが多いかと思います。キシリトールは天然素材の甘味料です。白樺や樫などの樹木からとられる成分を原料にして作られています。多くの果物や野菜にも少しは含まれています。砂糖と同等の甘味度ですが、カロリーは2.8Kcal/gで砂糖の3/4です。 インシュリンに関係無く代謝され、糖尿病患者さんも安心して使うことができます。 ここで、甘味料ときくと、甘い砂糖を思い浮かべますよね。 ということは、キシリトールって砂糖なの?と思われるかもしれませんが、代用甘味料という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。キシリトールもその一部となっています。(図2) ■キシリトールガムの選び方.■ 調べてみると市販で売られているキシリトール配合ガムは、殆どが100%キシリトール配合ではありませんでした。その原因の一つは、100%キシリトールはすぐに湿気をもつので、通常の包装での店頭販売は難しいということだそうです。サトウ歯科で置いているキシリトールガムは100%配合のものを選んで置いていますが、ガムだけを買いにわざわざ歯科医院に足を運ぶのも大変ですし、どうしてもそうなると当然近くのコンビニ等でガムを買ってしまいますよね。 市販のガムには、キシリトールを100%配合できない代わりにキシリトール以外にも甘さを維持し口当たりをよくする為に他の代用甘味料が使われています。もちろんそれらも殆どがプラークや歯を溶かす酸を作る材料にならない代用甘味料が使われています。 シュガーレスガムやキシリトール配合ガムに入っている代用甘味料の代表的な種類として、キシリトール以外では次のような物があります。 「アスパルチーム」「L―フェニルアラニン化合物」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」「ソルビトール」「マルチトース」「マンニトール」 片仮名で聞いたこともない言葉かもしれませんが、これらはガムのラベル表示をよく見てみると載っている名前です。これらの甘味料もキシリトールには少し劣りますが虫歯になりにくい代用甘味料となっています。 ガムを購入される時にラベル表示を見てみて、そういえば聞いた名前だなっというぐらいは頭に残していてもらえればいいかと思います。 では一体市販のものはどれだけキシリトールが配合されているのでしょうか? 市販されている代表的なキシリトールガムの栄養成分表示です。(図3)
図2を参考にしながら図3に表示されている糖質、糖類、キシリトールの表示を見てください。 まずは酸を作る材料となる糖類が0である事を確認してください。 次に、糖質中の何%がキシリトールかを計算しましょう。図2では、糖質16.9g中キシリトール9.6gということになってますから、(9.6÷16.9=)56.8%含有という事になります。 しかし残念ながら、ガムを購入して調べてみると表示がすべて明記されていない場合もあり、いったいどれだけキシリトールが配合されているかがわからない場合もあります。その場合は、糖類が0という表示だけは見逃さないで見てもらえれば、虫歯の原因の一部である糖類は含まれていないのでまず安心です。 そのうえ、上記の計算方法で糖質の50%以上がキシリトール配合であれば問題ないと思います。もちろん量が多いほうがより良いため100%キシリトール配合に越した事はありません。 最近では市販でも、キシリトールを100%配合にするために、ボトルタイプの容器を見かけます。家庭ではボトルタイプを購入し、持ち歩くのには通常の包装タイプを選ばれ購入されるのもいいかもしれませんね。 また、歯みがきガムや虫歯にならないガムと書かれているからといって、すべてにキシリトールが配合されているわけではありません。必ずキシリトールが入っていればラベルにキシリトールの文字が見られます。購入する時は、CMの煽り文句に惑わされる事なく、ラベル表示を確認して購入してもらえればいいかと思います。 では最後にキシリトールについて質問される事が多い事柄をQ&Aでまとめてみました。 ■キシリトール Q & A■ Q:キシリトールを取るタイミングはいつが最も効果的ですか? A:食事、おやつの直後が最も効果的です。砂糖の入ったお菓子(チョコレートなど)を食べても、その後キシリトールガムを噛めば、酸性になった口の中が元に戻るのが早いので、虫歯になりにくくなります。 Q:夜寝る前にガムをかむことに抵抗があります。 A:キシリトールを摂取しても上記に述べたようにミュータンス菌は酸を作れません。ですから寝る前にかんでも虫歯になる心配はないのです。 Q:効果はいつごろから現れますか? A:2週間から1ヶ月くらい摂取し続ければ効果はあるといわれていますが、1〜2年摂り続ければ、その後も効果が持続しますが、1〜2ヶ月程度の摂取では持続効果はほとんどありません。 Q:キシリトールガムとタブレットでは、効果の違いはありますか? A:ガムは噛むことで唾液を出す効果も期待できます。ガムを噛むことができない場合(矯正患者、幼児、お年寄りなど)は、タブレットを長時間口の中にとどめておくようにすると効果的です。
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