第三新東京市。
以前は遷都されるのではということで、
土地が次々と買収され、それなりの「街」となる様相だったが、
首相の「次の首都は名古屋だぎゃ」の一言で「町」レベルへと
変わっていった。そんな第三新東京市の一角に
「ねるふ商店街」はある。

 

 

ねるふ商店街のみなさん
      第1話 ようこそねるふ江
ねるふ商店街の支配者《碇ゲンドウ》の朝は早い。
朝4時30分に起床し、ラジオ体操第2を行い仕入れ兼ジョギングへと行く。
市場には先に妻兼商店街の影の支配者《碇ユイ》が来ており、
彼は妻の選んだものを運ぶ。
家に帰ると朝風呂。そして新聞をひたすら読む。
これが彼の1日の始まりだ。
彼が新聞を読み始めるころ、彼の愛する(?)
息子《碇シンジ》を起こすためにシンジの幼なじみ
《惣流アスカ》がやってきていつもの叫びが聞こえてくる。
「起きろ!バカシンジ!!!」
今日はドカッ!という音まで聞こえてきた。
ついでにパシッ!という音も・・・。
わが息子ながらなさけないと思うゲンドウだった。
しかし、ユイ曰く
「あなたの息子だからですよ」

 

いつものごとく朝食が始まる。
アスカも店のつごうで、小学校のころからシンジを起こしに来て、
そのまま朝食をごちそうになるのはいつものことだ。
ちなみにアスカの家は《パーラーSOURYU》というパチンコ店だ。
この時間は開店準備で母は忙しいらしい。
「ねぇ、おじさま。ここの隣には何が入るの?」
アスカは以前から思っていた疑問を口にした。
1ヶ月前、書店を営んでいた《榛名トメ》さんがご臨終されて、
それ以来空家なのだ。
「今日、業者がきて内装をするらしいわ。」
ユイがゲンドウの新聞を取り上げて答えた。
「で、何が入るの?」
「問題ない。」
「それじゃわかんないよ、父さん。」
シンジに突っ込まれたことによりゲンドウの《シンジいじめ》ポイントが
5あがった。後で仕返しをしようと決意するゲンドウであった。
「それは秘密よ♪さあ、学校に行きなさい。もうこんな時間よ。」
ユイが時計を指差す。すでに始業10分前。全力疾走でギリギリだ。
「うそ?行くわよ、シンジ!」
「まっまってよ、アスカ。」
「シンジ、待て。」
ゲンドウがお約束のポーズでシンジを呼びとめる。
「なに、父さん。急いでるんだけど。」
「これをもっていけ。役に立つ。」
シンジの前に本を二冊差し出した。
それには《よこそネルフ江》とかかれている。
商店街のパンフで、ゲンドウが編集したものである。
「いいからもっていけ。役に立つ。」
シンジがそんなものいらないという顔をしていたので、ゲンドウは重ねて言った。
ゲンドウをいじけさせると後がいやなので、シンジはそれを鞄に詰め込んだ。
玄関を飛び出していくシンジ。
「急いでて、人にぶつからないようにね〜」
ユイの声はとどいていなかった。

 


「なんとかまにあいそうだね。」
公園の坂を下りながらアスカに声をかけた。
「そうね・・・あっ!」
シンジに答えながらアスカは何かを思い出したのか急に立ち止まった。
「えっ?」
だがシンジは急にとまれない。
アスカに気をとられた彼は、見事な前方不注意でなにかと衝突した。
一瞬、視界がブラックアウトした後、彼がみたのは・・・
「白?」
顔のわずか20cm前方の白い物体だった。
それがなにか認識するまえに、彼の頬に痛みが走った。
「急いでるからこれで許してあげる。」
そういって少女は、シンジの視界から遠ざかっていった。
後にのこされたシンジはアスカに張り倒されるまで呆然としていた。
当然ながら二人は遅刻した。

 

 



二人が学校についた頃には朝のホームルームが始まっていた。
遅刻は正直つらい。担任の《葛城ミサト》は怒るとか、責めるということは
しないが、生徒をからかうのが大好きで、遅刻をすると
「あらぁ〜、寝坊したの?二人で夜遅くまでなにかしてかわけ?」
などなど、さすがはゲンドウの遠い親戚だけはあるという意地悪さだ。
仕方なく覚悟を決めて二人が教室にはいると・・・
「綾波レイです。」
「綾波レナです。よろしくおねがいします。」
と、二人の少女が自己紹介の真っ最中であった。
「あっら〜、」
二人ともとミサトが続けようとしたが、
「あっ、今朝のパンツ覗き魔!」
レナがシンジを指さして叫んだ。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
そして、激動の朝のホームルーム&1時間目(ミサトの国語)がおわった。
あれ(パンツ覗き魔発言)の後はひどかった。
アスカがシンジを事故だといってかばうが、その事をレナにちゃかされ、
さらにミサトがあおり、シンジは男子ににらまれ、委員長は
・・・・・・とまさに戦国時代だった。
そんな中、シンジはただただ小さくなるばかりであった。
だが、この果てしなく続くとおもわれた時も、
チャイムの音に断ち切られることとなった。
次は《赤木リツコ》の、理科の実験。
もしも遅れたらどうなるかわからない。
1中最恐の教師、《マッド赤木》。
彼女に逆らえるものは一人としていない・・・・・・。

 

 

 

 


「では、今日は水の電気分解の実験をします。水を電気分解し、その後
水素が発生しているかどうか、点火して確かめます」
ちなみに水素は爆発する・・・。そこらへんの注意はしなくてもよいのだろうか?

 

机の上にある実験器具は、リツコが作ったもので、普通の装置の二倍の大きさがあった。
白衣にメガネの似合う美人教師赤木リツコ(もうすぐ30歳独身)の説明は続く。

 

が、シンジの耳には入らなかった。
なぜなら、ミサトの策略により出席番号順に座ると、隣がレナになるから。
(普通転校生は後ろになる出席番号を前にもってきた。50音訓順でもちょうどよかったのだ)

 

どうしようと考えているシンジにレナが話しかけた。
「もういいわ。周りを見てなかった私も悪いし、ゆるしてあげるね。」
「ほんとにごめん。僕の方こそ不注意で・・・。」
「ほんとよね。もし転んで顔にでも傷がついてたら責任とってくれる?」
「なっ、なにいってんだよ。」
「うふふ、冗談よ。」
レナがクスクスと笑う。その可愛いらいしさにシンジは赤くなってしまった。
「改めて、綾波レナです。レナって呼んでね。」
「うん。わかったよ、レナさん。僕は碇シンジ。」
レナのお許しがでたためか、シンジは安心して笑顔付きの自己紹介をした。
シンジの笑顔にドキッとして、一瞬ひるんだレナだったが、すぐにイニシアチヴをとった。
「ち・が・う。レナよ。さんはいらないわ。シンジ君♪」
「そんな、恥ずかしいよ。」
「だ〜め。じゃなきゃ、さっきのなしね。許してあーげない。」
「・・・・・・・レナ・・・」
恥ずかしくてシンジはレナの顔を見ながらいうことができなかった。
女の子の名前を呼び捨てしたことは、今まで2人しかなかったからだ。
「よろしい。」
レナは満足げに頷いた。
「そうそう、おねえは《綾波》って呼ばれるほうがいいらしいから。」
「なんで?」
「さあ?お約束だからとかいってたけど。どこかから電波でもうけてたりして。」
「そうなの?」
シンジにはわけがわからなく、そう答えるしかなかった。そんなシンジをアスカが睨んでいた。

 

 

 

 

 


昼休みまでに、レナはすっかりクラスに溶け込んでいた。
レイの方は無口で今一歩だったが。
「シンジ君、一緒にお昼食べましょう。」
チャイムがなってすぐにレナがシンジの席に行った。
「うん。トウジとケンスケも一緒だけど。」
「もちろん♪みんなで食べたほうが楽しいからね♪」
シンジ、レナ、レイはお弁当を持って屋上に向かった。
その後ろ姿を見ていたアスカの手にあった箸が、バキッと真っ二つになった。
彼女と昼食をともにしていた《洞木ヒカリ》は、
なんといっていいかわからなかった。

 

 

「わしは《鈴原トウジ》っちゅう。よろしゅうな。」
「僕は《相田ケンスケ》。よろしく。」
「私は綾波レナ、レナでもレナさんでもレナちゃんでもいいわ。」
「・・・。」
「おねえ!」
「綾波レイ・・・。綾波で、いい。」
すでにケンスケはカメラ小僧モードに入っていた。
(レナさんと綾波か・・・。レナさんは間違いなく売れる。綾波はあれで
けっこううれそうだ。あとは笑顔が欲しいな・・・)
「二人ともどこに越してきたんや。」
「ねるふ商店街だけど・・・。」
「もしかして、僕の店のとなり?うち《日の出食堂》っていうんだけど。」
「本当?そこの隣よ。《BOOK SHOP 綾波》、本屋よ。」
レイは黙々とサンドウィッチをたべている。
「おとなりさんね。よろしくシンジ君。」
「こちらこそ、レナ。綾波もよろしく。」
レイは食べながら頷いた。
「なんや、シンジは呼び捨てにしてんかい。」
「えっ」
「今、レナって呼んでたじゃないか。」
トウジ・ケンスケがじりじりとシンジににじり寄る。
「だから、その・・・。」
「私が頼んだの。責任とってもらうためにね♪」
レナの言葉に2バカが固まる。
「シンジ、友達だと思ってたのに・・・。」
カメラをなでるケンスケ。しかし心の友は答えてくれなかった。
「ふけつや!ふけつや!ふけつや!!」
ガシガシガシ。委員長化したトウジが金網にやつあたりする。
「違うよ!誤解しないでよ!」
「誤解もろっかいもないわ!こん裏切りモンが!」
シンジは困り果てて、レナの方を見た。
眼が助けてよ、どうにかしてよと訴えている。
「あははは、ごめんなさい二人とも。冗談よ、責任とってもらうためじゃないのよ。
ただ、なんとなく私がシンジ君に頼んだだけなの。みんなもレナって呼んでくれるとうれしいな。」
「わしには、できん。おなごを呼び捨てになんて。」
「僕もレナさんって呼ぶよ。」
一応、二人の混乱はおさまったようだ。
それからは、3人がこの街のことを綾波姉妹にいろいろと話し、時間が過ぎた。

 



下校時間になり、アスカの姿を探すがいない。
トウジに聞くと、委員長とどこかにいったらしいことがわかった。
教科書をしまい、帰ろうと立ち上がったが、レイにとめられた。
商店街まで案内して欲しいということだった。
レナは?と聞くと、今は職員室にいっててもうすぐ来るとのことだった。
アスカもいないし、特に用事もなかったのでいいよと返事をし、
3人でネルフ商店街へと向かった。
途中、商店街の説明をしていたシンジは朝渡されたもののことをおもいだし、
それを二人に手渡した。
「「ようこそネルフ江?」」
なんか趣味の悪い表紙だと二人は思った。
なぜなら、そこには赤いメガネをした男がにやりとしているから。
「そう、僕らの商店街の案内だよ。読んでおくといいかも。」
シンジはパンフにそって説明をしていった。
担任のミサト先生の家は酒屋さんをしているよなど話ていると、商店街についた。
そこには、パンフと同じく
《ようこそネルフ江》
と書かれていた。
二人とも思った。ここに来てよかったのかと・・・。

 

 

 



つづく(予定)




突発的に思いついたネタを書きました。
一応、まだ続ける予定です。いまいちまとまらない文章ですみません。
感想、御意見がありましたら、こちらまで。




<ホームへ> <SSインデクスへ>