「アイス・・・・・・・・・」
少女の瞳から涙がこぼれた・・・。



Kanon 2次創作   奇跡が起こった日 その2


あたり一面真っ白なはずの公園を、夕日が赤く染める。
「今日、最後のアイスだったのに・・・・・・」
少女の視線はカップに注がれたまま。
ばらまいた物にはまったく関心がないようだ。
「あの〜・・・大丈夫?」
なにか、声をかけていいのかわからなくなったので、控えめにかけてみた。
「えっ?」
こちらを振り返った。
やはり、俺のことなど今まで認知していなかったようだ。
・・・かわいい・・・。
ランクAだ。(当然香里はS!)
彼女は俺に気がついたと同時にスカートの状態に気がついたらしい。
いそいでスカートを整え、うつむいてしまった。
そのしぐさにドキッとした俺。
自然と俺は手を差し出していた。
彼女は一瞬戸惑ったようだが、はずかしげに手をとってきた。
手が冷たい。
軽く手を引き、起こす。
「ありがとうございます。」
「いいや。でも気をつけなくちゃあぶないぜ。荷物はもっとバランスよく持ったほうがいい。」
「ん〜、でも、そうするとアイスを食べにくくなっちゃうから。」
「アイス?」
「そうです!アイス好きなんです!!アイスは好きですか?」
「えっ、アイス?う〜ん・・・好きといえば好きだけど・・・」
さすがに真冬の公園のベンチに座ってたべるほど好きではない。
「そうですよね!アイスっておいしいですよね!特にバニラがおいしいですよね!」
突然瞳を輝かせて、アイスについて語り出した。
メーカーがどうとか、値段と味がどうとか、止めなければえんえんと話しつづけそうな勢いだ。
散らばっている画材はどうでもいいのか?
「だから、ただ単にバニラといっても・・・。」
どうやらどうでもいいようだ。
「あの、拾わなくてもいいの?散らばったままだけど。」
「あぁ、そうですね。忘れてました。」
えへっと、てれたようなしぐさをしてしゃがみこんだ。
俺も手伝うためにそれに続く。
「はい、これで全部か・・・な。」
拾ったものを手渡して、辺りをみわたす。
「はい、全部だと思います。ありがとうございました。
あの〜、すいません時間わかりますか?」
俺が腕時計を見て時間を教えると、彼女は驚きの声をあげた。
「もうそんな時間なんですか。帰らないと。」
バックなどを持ちなおして歩く準備をしている。
「きーつけて帰れよー。」
ぺこっと頭を下げて彼女は帰っていった。
ふと気がつくと足元にアイスのカップが転がっていた。
ポケットからたいやきを取り出して一口かじる。
あしたはアイスなんてのもいいかなぁと思った。

 

 


<つづく>



筆者より
2話目、短いですが公開です。
さて、個人的なことですが、冬にアイスを食べるのはだいすきです。
カップのバニラ食べたり、ソフトクリーム食べたり、クリームぜんざいもすきかな。
とりあえず、次回も近いうちに公開しますね。
まっててくれる人はいるのだろうか?


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