「どうしちゃったんだろ、祐一・・・。」

2時間目の数学の時間。

教壇ではわけのわからない数式を教師が説明している。

が、名雪はノートもとらず、祐一の机を見ている。

「あのまま凍死しちゃったとか・・・」

別れる時の辛そうな表情が思い出される。

「まぁ、祐一はしぶといから大丈夫だよね・・・・・・すぅ・・すぅ・・」

名雪は暖かい陽射しに誘われ、遠い世界に旅立った。

教壇では教師が「ここはテストにだすぞ!」と声をあげていたのだが・・・。

いいのか?




Kanon連載SS 奇跡が起こった日  第4話



あたたかい。

ここはどこだ?

なんだかあまくていいにおいもする。

雪の中ではないことは確かだ。

まさか、天国?

俺って、いいことたっくさんしたから天国にこれたんだ・・・・・・・・。

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って、ほんとに天国なのか?

眼を開けるのがだんだん恐くなってきた。

まだまだやりたいこと(どういうことかは秘密だ)もたくさんあったのに・・・。

俺は勇気を出して、ゆっくりと眼をあけてみた。

ここは・・・・・・・どこかの部屋らしい。

左をみると、クマのぬいぐるみまで添い寝していてくれている。

起きあがって周りを見渡してみる。

カーテンや照明、今俺のいるベッドからして・・・女の子の部屋だと思われる。

なんで俺はこんなところにいるんだ?

もう一度今朝のことから思い出してみる。

名雪を起こしにいく

↓

着替えを途中まで鑑賞

↓


秋子さんに連行される

↓

ジャムがたっぷりのトーストを食べる

↓

永遠になりかける

↓

学校へ行く

↓

途中で動けなくなる

↓

名雪にカバンを託す

↓

気合を見せようとするが、ジャムに敗退。

↓

パト〇ッシュが見える

↓

女の子の声が聞こえる

ここまでの記憶しかない。

う〜ん、あの女の子の声、最近どこかで聞いたことがあったような・・・・・・

思案にくれていると、ドアが開いてスプーンをくわえた女の子が入ってきた。

「ふぉ〜ふぉふぃふぇふぉ、ふぃ〜んふぇふふぁ?」

口にくわえたスプーンのせいで、なにを言ってるのかわからない。

その左手でドアを開け、右手でアイスのカップを持ってきたようだ。

右手のアイスでその子のことがやっとわかった。

公園で会った、”アイス評論家”だ!

その子は部屋に入り、カップを置き、ベッド脇に置かれた椅子に腰掛けた。

「雪にうもれてたから、とりあえず私の家まで運んできたんですよ。」

「ありがとう、助かったよ。朝から体調わるくってね。

 でも大変だったろ、俺を運ぶのって。」

こんな力仕事とは無縁そうな女の子が必死に俺を運んでくれた姿を想像すると、

ほんとに迷惑かけたなと思う。

「そんなに大変じゃなかったですよ。だって、ポケッ・・・・・・・

 いいえ、なんでもないです。あはは、がんばったんです、ハイ!」

?今ポケットとか言いそうじゃなかったか?

まさか!四〇元ポ〇ット!?

それとも、ポケッ〇モンスターのモ〇スターボール!?

「そうそう、自己紹介がまだでしたね。私”美坂栞”といいます。

 公園では拾うのてつだってくれてありがとうがざいました。」

「俺は相沢祐一。こちらこそ危ないところを助けてもらってありがとう。」

と、自己紹介をしあいながふっと俺は気になることがあった。

確か”美坂”っていってたよな。もしかして・・・

「もしかして、お姉さんいる?」

「はい、相沢さんと同じ学校に通ってますよ。”香里”ていうんですけど、

 しってますか?」

「ああ、同じクラスだよ。俺のいとこの名雪ってのが香里の友達で、よく昼を

 一緒にしたりするんだ。」

そういったとたん、急に時間が気になった。

香里ともっとも多く会話できる昼飯の時間は1日のうちで最も重要な時間なのだ。

きょろきょろとあたりをみわたすと、ペンギンの時計が目に入った。

時間は・・・・・・・1時10分・・・・。もう、午後の授業が始まる時間になる。

終った・・・1日が終った・・・・。

もう学校へ行く意味がなくなった。

「あの〜、どうかしましたか?」

急にきょろきょろして、黙ってしまった俺を心配して彼女がのぞきこんできた。

彼女の瞳が10cm前にある。

俺はおどろいてのけぞり、後ろの壁におもいっきり頭をぶつげた。

非常にいい音がした。

さらに追い討ちで、壁にかかっていた額が頭にふってきた。

そして、俺の意識はまたも遠くなっていくのであった・・・・・・・・





つづく(予定?)



最近いそがしくて、なかなか書く暇がない。
たった、3・4KB程度なのに・・・。
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