14年度の実践(私の勤務校の実践)
   7月10日の授業研究記録アップしました(下方に)

研究テーマ


研究目標



目指す子ども像  









つけたい力








研究方法
 主体的・創造的に学ぶことのできる子の育成をめざして
  ― 地域に根ざした総合単元の実践を通して ―

 ・ 問題解決的な学習や体験的な学習を通して,調べ方やまとめ方,表現の仕方などの学び方を身に
  つけることができる。 〈問題解決能力の育成〉―指導要領に書かれている総合的な学習のねらい(1)―
 ・ 自らの追究を通して新たな社会認識を開き,自己の生き方を考えることができる。
           〈社会力の育成〉―指導要領に書かれている総合的な学習のねらい(2)―

 1 自ら問題を見つけ,個性を生かして追究していくことのできる子
 2 獲得した知識や技能などを自分の生活に反映させていくことができる子
 3 Aをもとに自分と社会との関わりを考えることができる子〈「社会力」を身につけた子〉
   *「社会力」をどうおさえるか
  子どもたちが社会的認識を広め,そして自身の力で高めていく(市民性,地球市民としての資質を身につけていく)ことである。自分の追究を通して社会を見,そして自分なりの主体的な社会への認識を持つことは,変化の激しい先行き不透明な21世紀を生きる子どもたちに欠くことのできない力である。目の前のさまざまな問題に主体的に対応できる力が「社会力(生きる力)」であると考える。
 ○追究する力
   問題を発見する力/計画を立てる力資料を集める力/資料を活用する力/事物を観察する力/
   集めた事実を分析する力/自分なりに判断する力  など
 ○自分の思いを表現する力
   作品(レポート,新聞,パンフレットなど)にまとめる力/発表する力/その他の表現する力
    (劇,音楽,ダンスなど)
 ○学習をふり返り,高めていく力
   自分の学習を評価する力/お互いの学習を評価し合う力/自分の生活を見直す力


 子どもたちをとりまく地域を対象とした体験学習を設定する。その実践を通して,地域を理解し,地域と共に生きることの大切さを知り,自分のできることを考えることで新しい自分を創造し,生きる力を身につけることができると考える。
  ・ 子どもたちの生活に密着した地域単元を設定する。
  ・ 教科の学習内容から発展させた問題を総合的な学習の題材として設定する。
  ・ 多様な学習形態をとる。(例:見学・訪問学習,ゲストティーチャーの招へい,
   個と小集団などの自在な学習集団,時間の弾力的運用,その他)
  ・ 資料を蓄積して学習をふり返り,また情報としてお互いに公開する。(ポートフォリオ評価の試行)

基盤となる
   考え方

 21世紀を生きる子どもたちに求められる力とは何であろうか。一口で言うならば「生きる力」である。私たちは研究を推進するにあたり,「生きる力」が具体的にどんな力を指すのか明らかにしなくてはならない。
「生きる力」とは,子どもたちが学校や生活で身につけた知識や技能を,問題に直面したとき,その場の状況に応じ,活用し,働かせることができる力である。このとき,子どもたちは自らの知を総合的,関連的に働かせている。
 子どもたちは現実の社会や自然の場でさまざまな問題に直面する。今までに獲得した知識や技能だけで解決することができる場合もあるが,多くの場合,新たな問題はその内容が複雑で多岐にわたり,一朝一夕に解決することはできないであろう。こういう問題を解決するとき,子どもたちが必要とする力とはどんな力であろうか。
 問題をよりよく解決する際に必要な力は,足りないものを探し出し,他のもので代用したり,それでも見つからないときは,自ら創り出す資質や能力ではないだろうか。そこでは知識や技能などを総動員して,再構成などしながら問題の解決や願いの実現に向けて働かせることになる。
 「総合的な学習の時間」のねらいは,このように「知が総合的・関連的に働く力」を育む指導をいっそう推進することであろう。
 このような取り組みを通して様々な問題を解決し,自分の生活や生き方について考え,自ら実践する資質や能力,態度を育てることを目指す。このように実践的,実際的な学習を通して,最終的に,自己の生き方を考えることができる自立的な生き方や地球市民として主体的に生きる力を身につけた人間の育成をねらうことをねらいとしたい。
 総合的な学習の時間を進める(言い換えれば,子どもたちが既に獲得している知識や理解・技能を,創造的に関連づける学習指導)を進めるにあたっては,子どもたちが自ら学び,自ら考え,判断し,満足や納得のいく学習活動が展開できる環境を工夫することが大切になる。そこでは子どもたちの実態に配慮し,指導の効果を高めるために,教師の指導の工夫が大切になってくる。我々はこのような学習を進める子どもたちに,どのような支援をすればよいのか,研究を重ねていく。
 また,学校全体の教育計画においては,子どもたちが学習や生活で獲得した知識や技能を関連的に働くようにすることが課題であり,子どもたちのよさや可能性,成長・発達の状況,学習体験,関心や意欲などの実態をもとにし,知識や技能が関連的に,主体的に働く学習内容を新たにつくることや選ぶことなどが求められる。 
 
1 全体計画の作成
2 授業時数を配当する。
  3,4年・・・・105時間  5,6年・・・・110時間
  週時程の中に位置づけるが,まとめ取りなど弾力的な運用に努める。
3 学習内容を厳選する。
  指導要領に示されている3つの領域(「国際理解・情報など」「児童の興味・関心」「地域や学校の特色」)
 をはじめ,様々な内容が考えられる。しかし,何でもよいという計画性のなさは研究 の行き詰まりを招く。
 重点化を図る必要がある。
  ― 本校の学習内容 ―
  ○ 全校のテーマ:(例)「地域に学び,地域に生きる」
   ・ 児童向けには別に考える。(例:見つめよう ぼくらの町八ツ田)
   ・ 研究の内容は特に定めない。環境,国際理解,福祉でもよいし,児童の興味・関心に基づくものでも
    よい。
  ○ 各学年のテーマ(例)
 (1年:生活科の単元に組み込んで 「見つけよう ふれあおう」  )
 (2年:   同   上   「見つけよう やってみよう」 )
  3年:「もっと知ろう 八ツ田学区」
  4年:「知立○大好き すてき発見物語」        視点をしだいに広げていく
  5年:「ふれあおう 知立の人と自然」
  6年:「広げよう 深めよう 私たちの知立」
  このような縦の系列を設定しておくと,研究の系統性ができ,教師も子どもも6年間の見通しを持つことが
 できる。
4 各学年の研究目標を明確にする。
   子どもたちの発達段階や学習経験を考慮し,また,研究の全体計画に基づき,各学年の学習目標を立てる。
  ○ 学年研究目標を明確にする。 
   ・ 全体計画に基づき,かつ縦の系列に留意し,学校全体の系統化を図る。
   ・ 前の学年でどんな力がついたのかなど,学習のレディネスを知る。
   ・ その上でつけたい力を明確にする。
5 単元を構想する。
  ○ 単元を構想する。
   ・ 子どもの思いや願いなどの実現に向けて,どのような学習を展開するか,これまでの学習経験を分
    析して構想する。
   ・ 学習の対象(目標を達成させるための)として,最適なものは何かを判断する。
    【例】4年「知立大好き すてき発見物語」
   ・ 3年で学んだことを生かし,さらに知立の素晴らしさを認識し,これからの知立を考えると同時に他
    へ発信していくことができる子を目指す。
   ・ 学習の対象として「知立の名所」「知立の名物」「知立の名人」等に着目する。
  ○ 評価のことも頭に置いて。
6 年間学習計画を立てる。
  ○ 年間総時数70時間で構想を立てる。残り35(40)は予備。
  ○ 予備時間の使い方(例)
  アンケートや実態調査の方法/調査結果の分析の仕方/報告文の書き方/インターネットやメールの使い方/
  その他  
7 指導計画による実践と評価の改善
(1)評価や支援の基本方針を明確にする。
  ○ 子どもの立場からの7つの視点
   @ 楽しく意欲的に学習しているか。
   A 自分から課題を持って学習に取り組んでいるか。
   B 問題追究や目標実現の見通しを持って学習しているか。
   C 学習中に自己評価を行い,学習を工夫したり改善しているか。
   D 子どもたち相互に評価や助言を行い,お互いに高め合っているか。
   E 自分の発揮した力,身についた力を意識し,今後に生かそうとしているか。
   F 学習で得た知識・技能・理解を自分なりにまとめ,他へ表現しているか。
  ○ 教師の立場からの3つの視点
   @ 指導計画に基づき,子どもの学習しているよさ,身についた能力やものの見方・考え方などを見取り
     正しく評価しているか。
   A 指導の結果を評価し,指導内容・方法の改善を行い,次の指導に生かしているか。
   B 評価の結果の蓄積から,年間学習計画や教育課程の改善を図っているか。
(2)新指導要録での「総合的な学習の時間」の評価
   14年度からの新学習指導要領の全面実施をうけて,指導要録の改訂がおこなわれる。この新指導要録では
  「総合的な学習の時間」の評価を次の3点について記述していくことになっている。
   ・ 第1に,どのような学習活動をしたか記述する。
   ・ 第2に,各学校で指導の目標や内容に基づいて設定した評価の「観点」を記述する。教育課程審議会中
    間のまとめでは,次のような評価の観点の事例があげられている。
   @ 総合的な学習の時間のねらいを踏まえた例
     「課題設定の能力」「問題解決の能力」「学び方,ものの考え方」「学習への主体的,創造的な態度」
     「自己の生き方」
   A 教科との関連を明確にした例
     「学習活動への関心・意欲・態度」「総合的な思考・判断」「学習活動にかかわる技能・表現」「知識
     を応用し総合する能力」
   B 各学校の定める目標、内容に基づいた例
     「コミュニケーション能力」「情報活用能力」など。
      * 本校では@の立場をとりたい。 
   ・ 第3に,評価の観点にそって子どもがどのように成長したか,「評価」を文章で記述する。
(3)評価の観点の設定・・・・・・指導要録の評価の観点の設定
   “評価と指導は一体のもの”
   “子どもたちにつけたい力=評価の観点”を基本的な考え方とする。
 ― 評価の進め方 ―
  ・ 長期的,継続的,累積的に進める・・・・単元全体,学期や学年を通しての見通し。
  ・ 多様な評価・・・・ワークシート,ノート,作文,絵,レポートなどの制作物
          子どもの自己評価や相互評価  教師の観察 地域の人や保護者                                 *これらを相互に組み合わせて。
  ・ 子どもたちの積極的に自己評価や相互評価を取り入れる。

(4)「総合的な学習の時間」でポートフォリオ評価法を生かす。
   「総合的な学習の時間」では,子ども自身が学習についてふりかえる自己評価,相互評価が重視される。この
  子どもによるこういった評価に最も有効な方法がポートフォリオ評価法であろう。ファイル方式(個人的な
  ものになりがち)や掲示板方式(だれでもいつでも見られる)など,いくつかの方法がある。
   子どもたちはそれぞれ活動の過程の中で,メモ書きや下書き,絵や文による記録,インタビューの記録,成
  果のまとめなど,たくさんの「作品」を生み出す。これらの「作品」をポートフォリオとして蓄積していくこ
  とで,教師は子どもとの対話を通して励ましたり,助言を与えたり,探究の方向を助言したりすることがで
  きる。
   また,子どもたちはいつも自分のポートフォリオを見ることによって,自身の変化や成長を確認すること
  もできる。さらに,友だち同士公開することで情報の共有化がいっそう高まるというメリットもある。
 


授業研究
 協議会記録


       平成14年7月15日   主題研究資料    授 業 研 究 協 議 会 報 告
          5年3組「がんばれ! 知立の農業」 授業者:○○○○教諭

1 授業内容
  自分たちが調べてきた知立の農業の問題点を発表しあい,次の学習へと発展させる。
2 話題になったこと
 ○ 調べ学習の在り方
〈意見〉体験がない状態で調べ学習に入ったことに疑問を感じる。昨年の「やさしい○○の町づくり」の実践で
   は,調べ学習に入る前に全員共通の体験があった。 
〈回答〉ゲストティーチャーとしてJAの方を呼んだが,データ中心の調べ学習になっていたことは否めない。ど
   のような体験をさせるべきか? アグリ知立に取材をすればよかったか?
〈意見〉子どもは調べることが好き。しかし上滑りの場合が多い。自分の生活との関わりで考えさせたい。ある程
   度調べたら次の課題に気づかせ,それを生活に生かせていけるとよい。
○ 知立の農業という視点
〈意見〉子どもたちの意見に知立の農業の問題点を語るという意識がなかったのではないか。
〈回答〉調べ学習に入った時点では意識していたが,調べていくうちに広がってしまった。
〈意見〉地元の人に聞き取るような形の取材があるとよかったのはないか。
     知立の農業に対する危機感を持っているか。子どもたちが感じるような手だてを。今やっと入口に立った
   ような気がする。これからの指導にかかっている。本時での子どもに気づかせるような発問はよかった。
〈回答〉取材をするとがんばっている姿など,よい面を伝えてくださる。本当のところ,実態は取材からではつか
   みづらいかもしれない。
〈意見〉授業者の考える知立の農業とは?
〈回答〉アグリ知立に目を向けさせ,知立でもがんばっている人たちがいることを知らせ,できる限り農業を守っ
   ていきたいという思いを持たせたい。
 ○ 単元構想に関して
〈意見〉前回,推進委員会で出されたものと比べ変更点はあるか。5年生のテーマとしてはふさわしいが,テーマ
   に向かって子どもたちをこういう認識まで高めたいという教師の思いが読みとれない。子どもたちの目が知
  立に向くよう,もっと教師が指導性を発揮すべきでは?
〈回答〉知立の農業の現状をおさえ,工夫している人々の努力に気づき,自分たちもがんばろうとする力をつけた
   い。それには地元を歩いて調べることが大切。さらに一歩進んで調べようとする力をつけたかった。ほんと
   にそうかな?と疑ってかかることで学習を深めるといった力もつけたい。
 ○ 総合的な学習の時間と社会科の関係に関して
〈意見〉どこまでが社会科でどこまでが総合なのか。
〈回答〉総合では課題を地域へ広げていくことが大事だと考える。地元から学ぶことを総合の中心としていけたら
   よい。
〈意見〉社会科は教科であるから,おさえなくてはならない目標はきちんとおさえる。きちんと線を引くことはで
   きないだろう。総合の中で社会科の目標を達成させることもできるのでは。総合では指導者の意図で方向性
   が変わって当然。
○ 総合的な学習の時間の在り方に関して
〈意見〉身近な問題から入り,それを広げていくという考え方を。自分たちの地域だけでなく,地球規模で考え
   る。農業の表面だけを学習の対象とするのではなく,経済的な視点も大切。生産と消費という経済行為であ
   る以上,そういった視点からも考えるべき。そこに現代の農業の苦悩がある。子どもたちがそこにまで至る
   かどうか。
    学習をどのような方向に進ませたいのか,どういう終末を迎えさせたいのか,教師がきちんとシナリオを
   描いておく。学習を通して,どのようなことを考えられる子どもにしたいのか,どのような見方ができるよ
   うにしたいのか,これらを教師がおさえておく。
    調べたことの発表だけでは学習として成立しない。話し合いや発表の場面では,発言者に対して鋭い切り
   込みをしている意見を敏感に感じ取る教師の力量。それを支援することが大切。教師の動きしだいで授業の
   流れは大きく変わる。