学年通信に掲載した総合的な学習に関する記事


学年通信5月号

   今 年 の 総 合 学 習
 時間割表をごらんになってすでにお気づきのことと思いますが,今年から週2時間の総合学習が設定されました。名前も「くすのきタイム」となりました。
 4年生の総合学習では,以下のことをねらいとして進めていきたいと考えています。
  @ 調べ方を身につける。
  A まとめ方を身につける。
  B 友だちとの好ましい人間関係を築いていく。
 わからないこと,不思議に思ったことなどを,どうやったら自分の力で解決できるか,そして,それを他人にうまく伝えるにはどうすればよいか,という力をつけたいと考えています。それが学ぶことの楽しさを味わうことにもつながると思います。

学年通信6月号
   子 ど も た ち に つ け た い 力
 学力をつけることは言うまでもありません。特に基礎・基本の学力は言うに及びません。それに合わせて,今年はくすのきタイム(総合的な学習の時間)を通して「学ぶ力」を育てていきたいと考えています。
 疑問に思ったこと,興味・関心がわいたことなどを,納得できるまで知るためにはどうしたらいいのか。自分の個性を生かした方法で追究し,「そうだったのか。」と納得できることはとても大きな喜びです。そしてその喜びが知的好奇心を呼び起こします。
 こういった体験を,与えられる学習ではなく,自分たちでテーマを設定して実践していくのが「総合的な学習の時間」,つまりくすのきタイムなのです。
 4年生は,その題材として明治用水遊歩道を取りあげます。日頃何気なく見ている遊歩道を,新たな問題意識を持って見つめるとさまざまな疑問がわいてきます。実際,先日遊歩道をのんびり歩いてみましたが,子どもたちはみんな多くの?を見つけました。それらの問題を自分なりの見通しをもって,友だちと協力して楽しく解決できるよう,担任は応援していきます。あくまでも子ども主体の学習なのです。
 以下に,今年度の実践への教師側の留意点を略記しておきます。

1 テーマ    「明治用水遊歩道のひみつをときあかそう!」
 2 目 的
 〇 自分の知りたいこと,わからないこと,関心を持ったことなどを課題として設定
  し,そしてその解決方法を考えることができる。
 〇 自己の課題を,個性を生かした方法で解決することができる。
 〇 わかる喜びを味わい,学び方やものの見方・考え方を身につけることができる。
 〇 友だちとともに追究していくことで,好ましい人間関係を築くことができる。

 3 方 法
  地域を流れる明治用水を新たな目で見つめ直し,そしてそこから生まれてくる疑問
 を自分の力で解決することにより,目的の達成を図る。
 【明治用水遊歩道を取り上げる根拠】
   子どもたちは日頃学区の中を流れている遊歩道を見慣れており,あって当たり前
  という感覚でとらえている。しかし案外知らないことが多く,関心を持って見つめ
  たこともほとんどない。新たな目で調べ始めると,興味を持って追究活動にとりく
  めそうである。また,いつでも出かけて調査できることも魅力である。
 (1) 学区内を流れる明治用水について調べる。【調べ方を身につける】
   視点:そこに住む人々の生活との関わり調べる。
   〇 遊歩道とせせらぎに重点をおく。
    自ら設定した課題を個性を生かした方法で追究する。
    ・人々の遊歩道への意識・・・・・・アンケート,聞き取り調査    
    ・遊歩道やせせらぎを利用する人々・・・・・・実態調査 アンケート調査
    ・遊歩道を未来に残すには・・・・・・自分たちにできること
    ・遊歩道を守る人々
    ・水にすむ生き物・・・・・・環境問題との関わり  実態調査 逢妻川との差
    ・遊歩道にある植物(樹木,花,草など)・・・・・・実態調査 
    ・水の行方・・・・・・せせらぎの水はどこから来てどこへ行くのだろう。
 (2) 調べたことをまとめ,他へ広める。【まとめ方,報告の仕方を身につける】
    テーマや個性に合わせて 選択する。
    〇 立体地形模型を作ってまとめる。流域図,動植物などをまとめる。
    〇 論文にまとめる。 
    〇 動植物図鑑を作る。 草や木を使った食べ物やあそび
    〇 樹木(水生動物)看板を立てる。
    〇 せせらぎサミットへの参加・・・・・・10月実施予定


学年通信7月号
   本格的な実践に入りました “くすのきタイム”
 前号でお知らせした「くすのきタイム」が本格的に始まりました。遊歩道を実際に歩き,今までとはちがった目で見つめてみました。子どもたちはたくさんの発見をし,同時に多くの疑問をもちました。多い子は数個(解決してみたいと思っている疑問)もっています。それらを一つひとつ解決していくことで「遊歩道って何だろう?」というテーマに迫ることができると考えています。そしてさらに「自分たちも遊歩道を大切にし,守っていこう」という意識に発展し,環境問題にも目が向いていくとを願っています。
 この学習は『課題を設定する→解決するために体験活動を重ねる→まとめる→人にそれを知らせる→自分の生活に反映させる』という一連の流れの中で,『自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てる』という総合的な学習の時間のねらいを達成させようとするものです。
 子どもたちは自分が設定した課題を,自ら解決への見通しを立て,そして自ら解決していきます。課題を解決するために市の図書館へ行きたい,農協の人に話を聞きたい,歩いている人にインタビューしてみたい,などさまざまな方法を考えています。取材活動の事前指導も忘れてはなりません。あいさつや相手に失礼のない取材の仕方など,ふだんの学習ではない指導ですが,こういった指導にも力を入れていきます。
 一度お子さんの「くすのきタイム」のファイルを見ていただきたいと思います。どんな疑問をもって,どんな見通しをもっているのか,そのためにどこへ行って何をしようとしているのか,くわしく記録してあります。お子さんの学習に関心を持っていただき,そして声をかけていただければ,さらに学習意欲も盛り上がると思います。
 これから子どもたちが取り組もうとしていることを,一部ですが紹介します。


子どもたちがこれからやろうとしていること
1 組
・図書館の本で、遊歩道はどこまで続いているのか調べる。 R.K
・遊歩道へ行って、遊歩道の周りにある植物の種類とそこになぜあるのか調べる。 C.N
・せせらぎにいる生き物について、遊歩道にある看板を見て調べたり、歩いている人に聞く。 C.F
・なぜ遊歩道がつくられたのかを図書館で調べる。 T.K
・ハンドルの付いているものの役目を、遊歩道の周りの人に聞いたり、看板を見る。 T.I
2 組
・遊歩道へ行って、花や木のスケッチをして、あとで図鑑で調べる。 M.T
・市の図書館へ行って、平成の道しるべのことと、俳句のことを調べる。 M.S
・遊歩道へ行って、花の名前を図鑑で調べる。写真も撮る。場所をメモして、特徴は絵に描く。 Y.W
・学校の図書室で、遊歩道がなぜできたのか、どこまで続いているのかを調べる。 Y.N
・遊歩道へ行って、古い井戸のことを調べる。土地のお年寄りにも聞いてみる。 Y.Y
3 組
・水が冷たいことや生き物を調べに、まだ行ったことのない遊歩道の西の方へいってみたい。 Z.S
・遊歩道の東の方と図書館へ行って、「平成の道しるべ」について調べたい。 Y.M
・遊歩道をつくっている材料について調べに、遊歩道を歩いて、図書館へも行ってみたい。 M.N
・今回は前に市の図書館で調べた「岡本兵松」のことを教室でまとめる。 S.K
・遊歩道にある木や花のことについて遊歩道で聞き取り調査をする。 Y.H


学年通信9月号
   せせらぎサミットに参加しました
 8月22日(火),せせらぎサミットが開催されました。これは明治用水の水を引いて,校内にせせらぎを作っている学校5校が集まり,せせらぎの活用法などの情報交換をする会です。安城4校,西尾1校,そして来迎寺小学校が参加しました。
 本校からは,総合学習で遊歩道の研究をしている4年生が代表で出席しました。参加したのは加藤亜沙美さん,横井咲良さん,和田唯奈さん,そして安井彩さんです。安遺産は司会を,加藤さんと横井さんは「遊歩道はなぜつくられたのだろう」,和田さんは「遊歩道にはどんな花が植えられているんだろう」というテーマで,それぞれ発表しました。
 どの子も,今までの追究の様子をうまくまとめ,分かりやすく上手に発表しました。


学年通信10月号
   くすのきタイムニュース  
 4月以来ここまで,遊歩道を実際に歩いて調べたり,歩いている人にインタビューしたり,また,市図書館や明治用水会館へ出かけたり,市都市計画課の方を学校に招いたりして,自分の課題の解決に取り組んできました。追究を進めるにあたり,情報掲示板を設置し,各自の計画や成果を,そのつどカード形式で公開する方式をとってきました。このことでお互いの追究を知り,お互いに高めあうことができたと思っています。
この結果,個人差はあるものの,どの子も成果をあげることができました。今まであって当たり前と思っていた遊歩道ですが,そこにはさまざまな意図から施設がつくられ,維持,管理されていることに気づきはじめています。中には1学期間の追究を経て,「遊歩道にはどんな施設が何の目的で設置されているのだろう」「四季折々に歩く人の目を楽しませるためにどんな草花や樹木が植えてあるのだろう」というふうに問題点を絞り込むことができた子もいます。今,これから自分がやらなければならないことは何なのか,ということについて考え,そしてその結果を各人が情報掲示板に掲示してあります。30日の授業参観の時には,ぜひご覧ください。そして,ご家庭でも励ましの声をかけていただければ,いっそう意欲がわいてくると思います。




学年通信11月号
   く す の き タ イ ム ニ ュ ー ス
  ー 2 学 期 の 学 習 計 画 ー
 4月以来取り組んできた「明治用水遊歩道のひみつをとき明かそう」の学習も, いよいよ大詰めに入ってきました。今後の学習計画をお知らせします。大きく分けて2つのコースに分けることができます。一つは,自分の調べが終わり,まとめに入るコースです。もう一つは,まだ残された課題があり,引き続き調査活動に取り組むコースです。「調査」「まとめ」という2つのグループに分かれて進めていきます。
 そして,すべての子が2学期中には調査活動を終了させ,まとめとして“一枚新聞”“パンフレット”“紙芝居”などの表現 物を作ります。これは,発表会(2回に分けて実施)で全員に発表し,掲示コーナーを 設置し,他学年の子や職員をはじめ,広く公開する予定です。
 そして,3学期は自分が調べてきたことをもとに《夢の遊歩道を考えよう》をテーマ として,将来の遊歩道を考えていきます。自分が生まれ育った地域の遊歩道を,これからどうしていきたいのか,どうあるべきなのか,もっと地域に生かすためにはどうした らいいのか,などについて考えていきます。    
 自分が調べてきたことの中から気づいたさまざまな問題点,聞き取りしてきた中から 手に入れた利用者の生の声など,存分に生かしてほしいと願っています。
 こういった子どもたちの声は,3月実施の「明治用水緑道と水利用協議会」の年度末総会で発表の機会がいただける予定です。「ぜひ来迎寺小学校の子どもたちの声を聞かせてほしい。」という依頼によるものです。この得がたい機会を十分に活用することで子どもたちもやりとげた喜び,充実感を得ることができると思います。私たち担任も,力いっぱい子どもたちを応援し,支えていきます。
1組  T.F君
 池の魚は誰が世話をしているのか調べたい。仕事でやっているのか,やさしい人がやっているのか,いろいろ聞いてまとめたい。
2組  K.Iさん
 木の名前でまだ分からないのがあるので,家の図かんや図書館の本で調べる。そしてパンフレットを作りたい。
3組  M.Nさん
 植物の名前を図かんで調べたり,明治用水会館で調べたことを本にしたりしたい。


学年通信12月号

   く す の き タ イ ム ニ ュ ー ス
 
4月以来,「明治用水遊歩道のひみつをとき明かそう」というテーマで取り組んできました。長期にわたって取り組んできましたが,現在まとめの時期に入っています
 
ここまで自分が調べてきたことを自分の好きな方法でまとめます。まとめるにあたって注意したいことは「正確に相手に伝える」ということです。そのために,次のようなことに気をつけます。
 〇 効果的なタイトルや見出しをつけよう。
 〇 だらだら書かないで箇条書きで書こう。
 〇 できるだけ図表や地図を入れよう。
 
このようなことに気をつけながらそれぞれの子がまとめをします。パンフレットにしたり,新聞にしたり,ガイドマップにしたり,いろんなものができそうです。できあがったら印刷して,できるだけ多くの人に配り,自分たちの実践をより多くの人に広めることができるといいなと考えています。
 
また,先日明治用水土地改良区の方から依頼があり,「明治用水緑道と水利用協議会」の年度末総会で,4年生の子たちが提案することになりました。テーマは「こうなったらいいな,明治用水遊歩道」です。
 
自分たちが調べてきたことをもとに,“夢の遊歩道”を考えます。私たちは,「自分たちが導き出した結果を,広くアピールする」という発展的な活動をしてとらえています。また,「地域を大事にし,これからも地域に生きる」という気持ちも育ってくれたらと願っています。実施時期は3月です。詳細は,おってお知らせします。
学年通信1月号
   く す の き タ イ ム ニ ュ ー ス
 冬休み中にここまでの実践を振り返ってみました。
 明治用水遊歩道の追究を重ね,自らの体験をを通して「学ぶ力」を身につけてほしいということから始まった実践でした。
 はじめはどの子も些細な疑問でしたが,その些細な問題の中に,実は大きな問題が隠されているのです。 例えば,“遊歩道はなぜ土ではなく石粒でできているのだろう”という疑問をもったA君は,「維持・管理がしやすいから」であることを知りました。そしてさらに追求が高まり,遊歩道を補修するなど,「縁の下の力持ちが存在する」ことを理解します。同様に“せせらぎにはどんな魚がいるんだろう”という疑問を持ったB子さんは「地域の中に自分の鯉を放流している人がいた」ことを知り,その後もずっとえさをあげるなど「せせらぎの世話をしている」ことを知りました。
 こうして子どもたちは,地域の人々の遊歩道によせる情熱を理解してきたのです。自分の好きな方法で追究を重ね,解決の喜びを味わった子どもたち。これが「学ぶ力」を育てる原動力になると考えます。
 この実践を通して,わからないことがでてきた場合,「じゃあ調べてみるよ。」という気持ちを持ち,そして「先生,分かったよ!」という,「わかる喜び」を味わわせたいと思っています。
 3学期は「ゆめの遊歩道」をテーマにこれからの遊歩道を考えていきます。