行動記録

 

12月25日 成田17:55−バンクーバー09:25〜11:00−カルガリー13:20〜15:00−キャンモア16:30

 カルガリー空港のエイビスレンタカーで車を借りる。「ロジャースパスへ行くのだが、雪道用に特別のタイヤなどは必要か。」と尋ねると、エイビスの係員は「オールシーズンタイヤを装着してあります。」と言う。この日はキャンモアで泊まる。

 

12月26日 キャンモア09:00−ロジャースパス14:00

 草柳の運転でキャンモアを出発する。10時にゴールデンの東20km地点に差し掛かったとき、下りの雪道でスリップし、道路の南側のコンクリート製ガードレールに正面からぶつかる。ガードレールで止まらなければ、谷底へ落ちるところだった。2人とも怪我はしていない。車を道路の右端へ止めて調べると、前のバンパーとグリルが壊れ、シャーシの前端も歪んでいる。左前のウィンカーは点灯しない。ヘッドライトもハイビームしか点かない。(後で点くようになった。)オイルや冷却水は漏れていないようなので、ブレーキの効き具合を試してから、そろそろとゴールデンまで行く。

 車を点検するためゴールデンで自動車修理工場を捜すが、あいにく日曜日でどこも休みだ。エイビスレンタカーへ電話すると、「車が動くなら、そのまま返却日まで使っても構いません。」ということだ。「警察に通報すべきか。」と聴くと、「自損事故であれば、通報する必要はありません。」と言う。そこで、再びそろそろと走ってロジャースパスへ行き、ベストウェスタン・グレイシャーパークロッジに泊まる。

 

ブルインズパス滑降

12月27日(標高1,500〜1,650mに雲がかかっているが、その上は快晴)ロジャースパス08:30−コノートクリークの標高1,707m 10:00−ブルインズ尾根の標高2,408m 13:00〜13:30−コノートクリークのホスピタルボウル・スライドパス出合14:30−ロジャースパス15:30

 ロジャースパスのロッジの北端でスキーを履き、コノートクリークを上流へ向かう。南岸を1.3km進むとグリズリーボウル・スライドパス出合であり、出合を通り過ぎたら北岸へ移る。さらに1.2km進めば、ホスピタルボウル・スライドパス出合に着く。我々の前後には山スキーヤーが何組も登っており、トレースは明瞭だ。

 ホスピタルボウル・スライドパス出合からコノートクリークを0.8km進み、樹木を透かして右上に浅い谷が見えた所(1,707m)で、その谷へ向かって登り始める。谷の途中で東側の樹林帯へ移り、ホスピタルボウル南端の尾根(1,859m)まで上がる。尾根上の小ピーク(2,012m)の北側を巻いて西側の鞍部に出る。南西に0.5kmトラバースすれば、ブルインズ尾根(ブルインズパスから南東へ下る尾根)の末端に着く。

 ブルインズ尾根は、幅30〜50m、傾斜20〜25度の広くなだらかな尾根である。登るにつれて、南の方にバルーパス(2,042m)やボニー(3,107m)が見えてきた。標高2,408mで尾根は細くなる。我々はここから引き返すことにした。先行パーティのスキーのトレースは、そのまま尾根を進み、ナイフリッジの手前で西側の8812ボウル源頭に入ってブルインズパスへ抜けていた。

 シールをはずしてブルインズ尾根を滑る。スキーが30cmほど潜る粉雪で、非常に快適だ。ホスピタルボウル南端の尾根から先はホスピタルボウル・スライドパスに入ったが、斜面の凹凸が激しく木も密生しているので苦労する。登った通りに下るべきだった。コノートクリークまで下りたら、トレースを歩いたり滑走したりしてロジャースパスへ戻る。

 

サファイアコル滑降

12月28日(標高1,500〜1,650mに雲がかかっているが、その上は晴れ)アスルカン登山口1,219m 08:00−マウストラップ1,524m 10:30−サファイアコル北東面の標高2,134m 13:15〜13:45−マウストラップ14:15−アスルカン登山口16:00

 アスルカン登山口まで車で行き、シール登高を始める。5分ほど登ると鉄道跡に出る。鉄道跡を南東へ1km進むと、グレイシャーハウス跡に着く。グレイシャーハウスは、1887年から1925年まで営業していた豪華ホテルである。登山基地として有名だったが、カナダ太平洋鉄道がロジャースパス経由からトンネル経由に変わったために廃業してしまったそうだ。

 北東に曲がる鉄道跡と分かれ、さらに南東へ進む。トレースの分岐が2ヶ所あるが、どちらも右の方を選ぶ。グレイシャーハウス跡から1kmの所で橋を渡り、後はアスルカンブルックの東岸に沿って上流へ向かう。

 マウストラップという谷が狭くなった所を抜けると、南西側にサファイアコルへ登る斜面が広がる。この傾斜20〜35度の斜面に取り付く。標高1,850m辺りまでは、疎らに木が生えている。先行パーティはドーム氷河へ向かったので、標高1,981mから先はトレースを離れて脛までのラッセルをしながら登る。

 13時15分に標高2,134mに着く。ここで登高は打ち切りにした。標高2,300m辺りにアスルカン氷河の末端が見える。この氷河を越えてサファイアコルまで登るとしたら、あと2時間は掛かるだろう。振り返れば、正面にはサードナルド(3,277m)の西壁が聳えている。右手の平らな山はヤングス峰(2,835m)で、遥か左手にはロジャース(3,216m)も見える。

 今日も、上部斜面のスキーは申し分無い。標高1,700mからマウストラップまでは、所々に岩が出ていて滑りにくかった。後は階段登高も交えながら、登山口まで5kmの長い滑走である。

 

12月29日(朝のうち曇り、のち雪。1日で5cm積もる。)ロジャースパスで休息

 

グリズリーボウル滑降

12月30日(曇りときどき雪一時日も差す。1日で10cm積もる。)ロジャースパス10:00−グリズリーボウル2,134m 14:00−ロジャースパス15:00

 ロジャースパスからコノートクリークの南岸を0.5km進み、橋を渡って北岸をグリズリーボウル・スライドパス出合まで行く。スライドパスを標高1,524mまで登り、その後はグリズリーショルダーという東側の樹林の斜面に入る。

 この斜面を上端(2,134m)まで登ったら、45度の急斜面を滑ってグリズリーボウルへ下りる。ボウルの中の傾斜は20度くらいである。モナカ雪になりかけているが、それほど滑りにくい雪ではない。標高1,800m辺りまで下りてグリズリーボウル・スライドパスが近づいたら、ボウルを横切って西岸の斜面に入る方が良い。我々はスライドパス中央の幅5mの溝へ入ってしまい、楽しくないスキーをするはめになった。

 

リザーズテイル滑降

12月31日(曇りときどき雪ときどき日も差す。1日で3cm積もる。)ハーミット登山口1,311m 08:30−ハーミットメドウズ2,134m 11:30−リザーズテイル14:00〜14:20−ハーミットメドウズ16:00−ハーミット登山口17:00

 車でハーミット登山口まで行く。この登山口は地形図「Touring at Rogers Pass」ではグリズリー・スライドパスの南西岸に描かれているが、実際は北東岸にある。樹林帯を登って行くと、標高1,800m辺りでトレースが2つに分かれた。1つはハーミット・スライドパス西俣を横切って東側の尾根に移り、もう1つは斜面をまっすぐ登っている。我々は後者のトレースを辿る。

 標高2,042mで樹林限界に達し、標高2,134mでハーミットメドウズに出る。細かな尾根や谷を越えながら、ハーミットメドウズを横切って北東へ1km進む。さらに標高差300m、傾斜20〜35度の斜面を登る。新雪の下に氷の層があって登りにくいので、途中でクトーを付けた。14時にリザーズテイルに到着。ここは、ロジャース(3,216m)とタッパー(2,728m)の鞍部に当たり、タッパー氷河の南西端でもある。

 14時20分に滑降開始。粉雪を堪能しながら、ハーミットメドウズまで下る。ガイドブックによればハーミット・スライドパス東俣を下りられるようだが、誰かが滑った跡は無い。東俣を偵察しながら西岸の尾根を下ってみるが、谷底の様子は良く分からない。そこで、尾根をしばらく下り、どこかでハーミット・スライドパスの中俣と西俣を越えて登路へ戻ることにした。

 ところが、樹林限界(2,042m)まで来て見下ろすと、地形が複雑で、あちこちに崖もある。もう15時なので、トレースの無い所を試行錯誤しながら進んでいたら、途中で日が暮れてビバークすることになりそうだ。ハーミットメドウズへ登り返し、往路のトレース通りに下ることにする。最後は随分暗くなったが、ヘッドランプが必要になる前に何とか登山口へ帰り着いた。

 

1月1日 ロジャースパス09:00−カルガリー17:30

1月2日 カルガリー08:30−バンクーバー09:00〜11:20−

1月3日 −成田14:20

情報編へ

カナダ ロジャースパス