行動記録

7月31日 関西18:15−(草柳は成田発)

8月1日 −クライストチャーチ08:45〜14:00−マウントクックビレッジ18:30

8月2日(快晴)マウントクックビレッジ10:20−タスマンサドル小屋10:40〜13:20−タスマンサドル2,435m 14:20〜14:40−ホックステッタードームとアイルマーの鞍部2,640m 15:30〜16:00−タスマンサドル小屋16:30

 マウントクックビレッジ中心部の4km南にあるマウントクック空港で4人乗りの飛行機に乗り込み、10時20分に出発。北東へ30km飛んで、タスマンサドル小屋の上の標高2,380m地点に着陸する。荷物を2回に分けて小屋まで運ぶ。

 小屋からは、クック、ミナレッツ(3,040m)、エリー・ド・ビューモント(3,109m)が良く見える。エリー・ド・ビューモントはタスマンサドル小屋からスキーを使って日帰りで登れる山だが、積雪やスノーブリッジの状態次第では標高2,800m付近のクレバス帯を越えるのは大変かもしれない。

 午後は、タスマンサドル(2,435m)まで登ってマーチソン氷河を偵察する。氷河の右岸の斜面は滑り易そうだ。左岸のウィンパーサドル(2,223m)やクラッセンサドル(2,213m)へ上がる斜面は、クレバスの多い部分がある。4km先に見えるアイダ氷河を詰めてアクランド(2,562m)とリッチモンド(2,509m)の鞍部(2,360m)まで登るのも良いスキールートだが、日の短い冬にタスマンサドルから往復するのは難しいだろう。

 ホックステッタードーム(2,827m)とアイルマー(2,699m)の鞍部へ登る。北東の方には、ゴドレー谷源頭の山々が連なっている。山脈の西側は雲海に覆われているが、雲の切れ間にタスマン海も覗いている。鞍部から50mほど下りた所で西へトラバースし、後はタスマンサドル小屋を目指して滑る。晴天が続いていたらしく、重たい雪だ。夕方3人のイギリス隊が入山し、小屋の客は2パーティになった。

 

8月3日(快晴)タスマンサドル小屋08:00−タスマンサドル09:00−マーチソン氷河の標高2,100m 09:30〜10:00−スターベーションサドル2,204m 10:30〜10:45−マネリング氷河の標高2,100m 11:00−スターベーションサドル11:20−クーパー西峰2,337m 12:00〜12:30−マーチソン氷河の標高2,100m 12:45〜13:00−タスマンサドル15:00〜15:30−タスマンサドル小屋16:00

 タスマンサドルを越え、マーチソン氷河源頭の急斜面(35度)へ滑り込む。前半はクレバスを迂回しながらジグザグに下らなければならない。今回はトレースがあったので、ルート探しで苦労することは無かった。後半は快適なスキーができる。

 標高2,100mでシールをつけて右岸のスターベーションサドルへ登り、その南側にあるマネリング氷河の源頭を100mほど滑る。サドルへ登り返し、さらにクーパー西峰へ上がってからマーチソン氷河へ滑り降りる。

 クトーを使って急斜面を登り、タスマンサドルへ向かう。だいぶ日も西に傾いてきた。16時にタスマンサドル小屋へ戻る。

 

8月4日(午前中は曇りだが日も差す。稜線には雲が掛かっている。午後は雪と霧で、翌朝までに5cm積もる。)タスマンサドル小屋で停滞。

8月5日(曇りだが日も差す。午前中は稜線に雲が掛かっている。)タスマンサドル小屋11:30−ホックステッタードームとアイルマーの鞍部13:15〜13:30−ケルマン小屋2,460m 14:30〜15:00−タスマンサドル小屋16:00

 8月4日は降雪のため停滞する。5日も朝のうち風が強くて稜線に雲が掛かっていたが、昼頃には天気も良くなってきたのでアイルマー南西面を滑りに行く。期待したほど新雪は積もっていなかった。タスマンサドルまで下りて、今度はケルマン小屋の西の斜面を滑ってみる。こちらの雪もパッとしない。氷河を滑走してタスマンサドル小屋へ帰る。

 

8月6日(雪と霧。翌朝までに20cm積もる。)タスマンサドル小屋で停滞。

8月7日(雪で5cm積もる。稜線には雲が掛かっている。15時から曇りで日も差す。)タスマンサドル小屋で停滞。

 8月6日はホックステッタードーム西稜を滑りに行く予定だったが、降雪のため停滞。7日は下山予定日なので、朝から何度かマウントクック空港と無線で連絡を取る。しかし、15時まで雪が降り続き、下山用の飛行機は来なかった。

 

8月8日(雪と霧。1日で20cm積もる。)タスマンサドル小屋で停滞。

 今日も雪と霧のため、飛行機は迎えに来ることができない。イギリス隊が2日がかりで歩いて下山すると言うので、我々も同行することにした。荷造りをして身支度も整えたが、いざ出発しようとすると視界がますます悪化してきた。これでは、トレースの無い氷河を歩くのは難しい。下山は中止せざるを得なくなった。

 日本行きの飛行機は、明後日の朝出発してしまう。明日も天気が悪い場合にはどうするか、草柳と相談する。1日で歩いて下りるのも一案だ。しかし、マウントクック空港まで12時間ほど歩いた後で、そのままクライストチャーチまで5時間もドライブするのは、危険が大きすぎる。結局は、飛行機で下山できるまで何日でも待つことに決めた。幸運にもタスマンサドル小屋の燃料戸棚には、ホワイトガソリンが5リットル以上とガスカートリッジが3個入っている。先行パーティの使い残しや、登山ガイド会社のデポらしい。また、台所には段ボール箱一杯のパスタやオートミールが残置されている。それに、マウントクック国立公園ビジターセンターへ無線で頼めば、日本の留守本部にも連絡がつくだろう。

 

8月9日(快晴)タスマンサドル小屋11:00〜マウントクック空港11:30〜クライストチャーチ

 昨日の心配は杞憂に終わり、4日振りに天気が回復した。タスマンサドル小屋の上の着陸地点へ、7人乗りの飛行機が迎えに来る。30分後にはマウントクック空港に着いた。共に悪天候を耐え忍んだイギリス隊とも、ここでお別れだ。上空は風が強くなってきたらしく、クックの山頂からは雪煙が上がり始めていた。

 

8月10日 クライストチャーチ06:00−オークランド07:20〜08:35−関西17:00(草柳は成田着)

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ニュージーランド タスマン氷河とマーチソン氷河