なに考えてんにゃ Showchan


「ホタルのあかり」

 六月に入っていよいよ梅雨の季節、
もちろん田畑にとっては大切な雨ではあるけれど、
蒸し暑くってうっとうしい。そんな中この時季しか見られない
素敵な光景がある、「ホタルのあかり」。

 昼間の気温がどんどん上がっても、夕方はぐっと
涼しくなるこの時季、川辺はなんともいえない風が吹く。
日が落ちて暗闇につつまれだすと、どことなく心を和ませる
小さな「あかり」がポツリポツリと点りだす。

子どもの頃は「ほっ、ほっ、ほ〜たるこい」と唄いながら
川に入って蛇穴が光るのと間違わないようにとビクビクしながら
点滅する「あかり」を追った。

 大人になってからは毎年「あかり」を求めて川辺にたたずんでいる。
忙しく働く現実の世界から幻想の世界へと誘ってくれる気がする。
こんな都会の京都市内でもいろんな方の努力もあって
今でもあちこちでホタルを楽しむことが出来る。
水辺のにおいと風、点滅しながら飛び交うすがた、
迷った「あかり」が人の衣服にとまったり点滅の速度を楽しんだり。
雨上がりの「あかり」は澄んでいてこのうえもない。
この光景は写真やビデオではどうやっても伝わらない。
今年もこんな癒しとなる「あかり」を求めて日の暮れに川辺へいきたい。



京都新聞(06.6.6掲載分)へ


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