なに考えてんにゃ Showchan



 
千日詣で貴重な経験

 7月31日から8月1日に標高924mの愛宕山頂にある
愛宕神社に参ると千日分の火伏・防火の御利益が
あると言われている。
 京都に生まれながら愛宕山に一度も登ったことが
なかったので今年こそはこの「千日詣」に仕事を
終えてから行こうと早くから決めていた。
 多くのお年寄りや子供達が登るので普段から
歩くことを心がけている私には「たいしたことはなかろう」
と高をくくって登りはじめた。
ところが山頂まで4kmの長いこと長いこと、
「おのぼりや〜す」すれ違う人が励ましの声を
かけてくれる、これには「おくだりや〜す」と
気をつけて下りてくださいねと返すのが習わしで、
はじめは照れくさい気持ちを持ちながら
返していたが、次第に息が切れて声が出ない。
神社に参って御神酒を頂いてから下山、
実はこれにも苦労し、日頃の運動不足と体力のなさを
今更ながらに思い知る結果となった。
 しかし2時間かけて登り切った喜びや、
途中から見える夜景の素晴らしさ、そして何より、
お年寄りを気遣う若者の姿をみたり、京都弁でお互い声を
掛け合うコミュニケーションができたことは、
人と接することが疎になった都会で大切な何かを
忘れている者にとって貴重な経験となり、最高の勉強と
なった気がする。



朝日新聞(06.8.10掲載分)へ


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