世界の名門バーの 今

カクテルの起源やエピソード話にはよく、お店の名前が登場する。

カクテルの本によく出てくるのが、ロンドンのホテル、ザ・サヴォイ。1930年にレシピ集、サヴォイ・カクテルブックを発行し、カクテルの世界の模範となってきたホテルだ。

アラスカは約100年前に、このホテルのバーテンダーが作ったとされている。カクテルばかりでなく、現代のホテルの模範とされるホテルでもある。創立は1889年だが、その当時からエレベーター、各室にバス・ルーム、建材には防火用にコンクリート、スチールを用いるなど、19世紀としては驚異的な設備を導入している。現在でも宿泊客一人にスタッフが三人という態勢の質の高いサービスを保ち、世界のホテルの模範とされている。

savoy.jpg

ベネツィアで観光客にもよく知られているのが、“ベリーニ”を生んだレストラン、ハリーズ・バー。サン・マルコ船着場の目の前にあり、魚・肉料理ともに絶品。バーでは一日中“ベリーニ”のためにピーチをミキサーにかけているとか。日本からの観光客にも親しまれている。

日本で有名なのが横浜のホテル・ニューグランド。山下公園を見下ろすように、マッカーサーの執務室もあったという古めかしい旧館と高層の新館が並んでする。横浜を代表する伝統と格式のあるホテルだが、カクテルの世界では初代バーテンダーのルイス氏が“バンブー”“ミリオン・ダラー”の二つの名品カクテルを生み出したことで知られている。同じ横浜で“チェリー・ブロッサム”を生み出した名バーテンダー田尾多三郎氏がオーナーだった名門バー、パリは氏の没後も未亡人がシェーカーを振って、健在である。

k2.gif

アラスカ Alaska

aiaska.jpg

アラスカの氷原を連想させて涼しげ

「リキュールの女王」といわれるシャルトリューズ・イエローを使ったカクテル。100年ほど前、ロンドン・サヴォイホテルのバーリー・クラドック氏によって創作された。シャルトリューズは多数の薬草類をグレープ・スピリッツで蒸留し、数年間熟成させたもので独特の香りと味を持つ。グリーン、イエロー、オレンジ、エリクシルの4種あるが、特にしていされていない限りイエローを使うことが多い。昔はスタンダードなカクテルであったが、このシャルトリューズが貴重なため幻のカクテルといわれた。アルコール度は高いが、シャープで芳醇な大人の味。

レシピ

ドライ・ジン…2/3 シャルトリューズ(イエロー)・・・1/3 オレンジ・ビター…1dash

ドライ・ジン、シャルトリューズ(イエロー)、オレンジ・ビターをシェーカーに入れ、シェークし、カクテル・グラスに注ぐ。

シェークをステアにしてもOK。オレンジ・ビターは好みに応じて加減し、抜いてもかまわない。ドライに作ることもできる。

カクテルのベスト10というのは、世界的に有名なバーテンがそれぞれ選んだものですが、不思議に共通するものも多く、世界ではこれを参考にしています。この場合のカクテルとは狭義のカクテルです。