車社会ニッポン

どこかおかしい日本のクルマたち

08年7月13日


車社会ニッポン

すぎもと たかよし

鳥影社 2000年11月

 
この本はなかなか読み応えがありました。久しぶりに内容がきちんとある自動車本を読んだという気分にさせられました。

著者のすぎもとさんは自動車評論家ではなく一般の自動車ファンなんですね。
日頃から日本のクルマといわゆる自動車評論家には強い疑問を持っているそうです。
それをこの本でことごとく表現したという、そういう本です。
だから内容はクルマ批判とともに、評論家批判にもなってます。

自動車雑誌のほとんどのページはゼロヨン対決などの「スペック至上主義」か、どの装備が得だの損だのの「お買い得情報派」が大半を占めている。仮にも自分の職業の肩書きが「評論家」や「ジャーナリスト」とされている人たちのやることがこれでいいのか?

まあ、こんな感じのことがいっぱい書いてあります。

例えば98年に軽の規格が変わりました。この規格変更は衝突安全対策がその大きな理由でした。それまで軽は小型車の50キロでの前面衝突テストに対して軽は40キロでOKであり、側面衝突にいたっては統一基準すらありませんでした。

こうした小型車と軽との安全基準の差についてこれまで評論家は何も言いませんでした。ところが98年に規格変更と同時に今まで無口だった評論家が突然安全の大合唱を始めました。
すぎもとさんはこうした評論家の態度は許せないとしてます。

トヨタのヴィッツという快作が出たときに評論家はやれコンパクトカーだ、デザインだと大騒ぎしました。しかし、現実に作品が出てからなら誰にだって意見は言えるのです。評論家の仕事はヴィッツが出る前に「いつまでスターレットのようなクルマを作ってるんだ」だったはず。評論家のやってることは後追いのお気楽仕事だ、みたいなことも書いてあります。

確かにかなりの部分でその通りだなと思わせるものがありますね。

私は車の本はインターネットの「くるまのほんや」で調べてますが、ここでは2000年発行のこの本はこれまで紹介されていませんでした。それがつい最近見たら紹介されていたんですね。恐らくくるまのほんやの担当者がこの本を見つけ出していい本だと思ってちょっと古い本だけど紹介したんでしょう。
自動車ファンなら一読してみる価値はあると私は思います。

なおこのページでは基本的にいいと思った本しか扱っておりません。前に福野礼一郎さんを持ち上げたことがありますが、最近の著作である世界自動車戦争論 1 はそれほどの内容とは思えなかったので扱わないこととしました。福野さんごめんなさい。

 

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