september         
                                                 ***秋の旅に寄せて***

                                                          
               
                                           オランダ、ベルギー、北ドイツの旅
                                             (りんごの樹の下で)

 

 

             9月のまだ初め、一足早い秋を感じたくって、ヨーロッパの旅に出た。

                行き先は、オランダ、ベルギー、北ドイツ。

           東京では出発日にさえ、まだクーラーなしでは過ごせないほどの残暑。

          夏の名残りと、秋の気配とが、行ったり来たり交差する、そんな季節だった。

                                                               

      

                               

                           

           運河の街、アムステルダム。

おとぎ話のような街を想像していたのだが、落書きだらけの建物と、

  運河から漂ってくる、下水のような匂いに閉口してしまった。

    家並みは間口が狭く、とってもかわいい印象なのだが、

     どうも今ひとつ、私の琴線に引っかかってこない。

   アンネ・フランクが住んでいた隠れ家のトイレの便器が

 「デルフト焼き」っぽく、 藍色の花もようが可愛いかった、とか、

  世界一平均身長が高いオランダ人が住んでいるだけあって、

     洗面台と便器がやたらと高く、使いにくかったとか、

        そんな印象ばかりが残った街である。      

 

 

                            

        焼きものの町、デルフトを訪ねてみた。

      ピラカンサの実が、真っ赤に色づいている。

           小さな川が流れていた。

    小川に沿って、並木道がずっとずっと続いている。

  少し色づき始めた葉の間から、柔らかな秋の陽がのぞく。

   一軒の家を覗き込むと、窓辺で猫が昼寝をしていた。

           おだやかな秋の一日。

        

 

                                              

               小さな運河。

    9月なのに、もう銀杏の葉が色づき始めていた。

 

 

                         

       秋だけれど、イチゴや、こけもも、ブルーベリーなどの、

           ベリー類が豊富な果物屋さん。

      赤と緑のりんごが秋の始まりをそっと教えくれる。

 

 

                       

          北海をまわって、ベルギーに入った。

           ここは、ブルージュ、中世の街。

       古いホテルに絡まる蔦の葉は秋が深まると、

        もっともっと深い紅の色へと染まってゆく。

 

                                                      

 

                                     

 

                                                           

                     木漏れ日の家

 

 

                                        

          犬がいると、一声かけて触らせてもらう。

             犬好きは、世界共通らしい。

 自分の犬を「かわいい」と言ってもらえれば、飼い主はもう満面の笑みだ。

    私の後ろにいる黒い犬は、多分「ブービェ・フランダース」。

             ベルギー・ブリュッセルにて。

 

                  

                           

         ここは、ベルギー・食い倒れ横町。

 どの店も、ディスプレイに貝や魚や果物が、てんこ盛りに飾ってある。

    バケツのような器いっぱいに入ったムール貝を食べた。

 

                    

                          

.      小さな国ルクセンブルグで一泊して、ドイツに入る。

      ライン川沿いの小さな町には、たくさんのぶどう畑が。

   教会の尖塔や立ち並ぶ家々が、川面にゆらゆらと揺れて写る。

         こんな風景に出会えると、思いがけない、

        ちょっしたプレゼントをもらったような気分に。

 

             

                                

          壁いっぱいに絡まった、緑の蔦の葉。

      あまりの美しさに、自分も一緒に納まってしまった。

 

             

                              

           赤い実をたくさんつけた樹の下で。

             何の樹かはわからないが、

   ドイツでは、赤、紫、青、黒などの実をつけた樹を多く見かけた。

       リースの材料には、事欠かないかもしれない。

 

 

                             

                山あいのホテル。

      離れのような、小さな建物がいくつか建っていた。

       夏はリゾートホテルとして賑わっているらしい。

          裏には果樹園があり、鹿の群がいた。

         朝食のテーブルには、裏庭で取れたような、

     でこぼこのりんごと洋なしがコンポートに山盛りに。

        そして、たくさんの種類のチーズとパンとヨーグルト。

            ふかふかのスクランブルエッグ。

       ハムもベーコンも食べきれないくらいにたくさん。

  とびっきりに新鮮で、おいしかった、山の小さなホテルの朝食。

 

          

                              

                古い家の窓から、キャバリアが一匹。

 

 

    

                          

                  トレンデルブルグの古い家の前にて

                  石畳と石塀が、中世の時代を忍ばせる。

 

 

                           

                         いかにもドイツ的な建物の前で。

                     窓辺を飾るゼニラニウムと蔦の葉がきれい。

 

 

                                

                    リューデスハイムの教会。

             石畳の道に、少しだけ色づいた葉が風に舞う。

                赤いレンガと黄色い葉のコントラスト。 

                何世紀もの間、ずっと変わらない風景。

 

    

                           

             ブレーメンで見つけた、テディベア専門店。

     この日は残念ながら定休日だったらしく、中を見ることが出来なかった。

                              

            ハンブルグの空港で、たくさんのりんごが籠に盛られ、

               「ご自由にどうぞ」との張り紙がしてあった。

              小さくて、いびつな形をした、緑と赤のりんご。

        帰国の途の前に、2、3個バックに忍ばせ、イスに座って囓ってみた。

             ほのかな酸味と甘さが、パアッと口中に広がる。

                 思い出の隅っこに残っていった味。