このたび私の妻である洋子・ディープ・パープル(以下DPYと略す)がスーパーティーチャーズ(以下STと略す)の求めに応じて寄稿した「言葉の海」なる文章について、遺憾に思うところがあり、諸君に手紙することにした。 「言葉の海」は数年前、妻が極めてローカルな雑誌に寄稿したものであり、その性質上ごく限られた範囲の読者しか予定されないものであった。したがって配偶者である私も、文中でさかんに揶揄されることに若干の痛痒は感じつつ、男としての鷹揚さを示さねばならぬ必要もあって第3巻までの執筆・掲載を許した。 ST諸君がどこでこの文に出会ったかは知らぬが(おおかたDPYの元同僚か何かだろうと推察する)、ネット上に公開するにあたって、DPY以外に(文中たびたび現われる)私の許諾が必要だという発想はなかったのだろうか。 文中「トボケタ」とか「ウンチクたれの」と表現される私も、実際は謹厳実直、真面目を絵に描いたような男であり、一切の威厳はそこから発していると言っていいような堅物である。そうした人間がネット上に「言葉の海」が掲載されることによって失われるイメージの大きさというものに、諸君が一顧だにしなかったとすれば、それは教師としてあまりにも恥ずべき人権意識の低さというしかないだろう。 もとよりこの文の文責ならびに著作権者はDPYであって、諸君ではない。ましてDPYが私の妻である以上、これは公共の問題というよりは家庭内の問題である。そのことは十分承知している。しかしさらに重ねて言えば、「面白い」というだけの理由で特定の文章や映像を人々に提供するというやり方は、諸君らが蛇蝎のごとく毛嫌いするマスメディアと同じ発想ではないか。 ST諸君の見識を疑う。 すでに公開済みの2巻については過ぎたこととして私も認めよう。しかし予告された第3巻についてこれを発刊することは絶対に認めることはできない。まして更なる続巻を計画するなど言語道断の所業である。よって厳重に注意の上、これ以上DPYに関わらぬよう要求する。 オットー・ディープ・パープル PS 妻はその昔、紫式部に深く傾倒した時期があり、「ディープ・パープル」はそれに由来するペンネームかと思う。自分を式部になぞらえるのは傲慢というものであろう。私はこのペンネームが好きでない。しかし、今回このような事態に至り、私がDPYの配偶者であることを明らかにする必要から、由緒ある私自身の名に重ね、妻のペンネームを借用せねばならなくなった。この点もまことに遺憾である。 |