綾辻行人 14

殺人鬼II

―逆襲編―

2000/11/04

 『殺人鬼』の続編である。双葉山の名も無き殺人鬼氏が、大復活だ! しかも今回は、人里まで降りてきてしまう…。

 主な舞台は病院である。冒頭で軽く不運な一家を惨殺した後、深夜の病院へとやって来た殺人鬼氏。そこには刃物から薬品まで、殺害アイテムが各種豊富に揃っている。

 今回は、殺人鬼氏と戦うことになる真実哉少年の奮闘ぶりが注目される。自らの目が他人の目と同化してしまうというありがたくない能力を持つ彼は、よりによって殺人鬼氏の目と同化してしまう。よくぞ精神の平衡を保ち続けられたものである。そんな彼が、いかにして殺人鬼氏を倒すのか?

 うーん…全体的には、前作よりパワーダウンしているかな。殺害方法にも工夫が凝らされているが、正直なところ怖いというよりむしろ滑稽だ。己の体一つでばったばったと殺しまくる前作の方が、はるかに殺人鬼氏に凄みが感じられた。殺人鬼氏ってこんなにお茶目だったのか?

 真実哉少年の奮闘の末に明かされる、驚愕の真実…と言いたいところだが、前作を読んでいる読者には読めてしまったかもしれない。続編の難しさを痛感させられる。

 そういえば、映画『13日の金曜日』も、シリーズを重ねる毎にギャグと化していったよなあ。ジェイソンをニューヨークまで出張させちゃいかんよ。「ジェイソン日の金曜日」などというキャッチコピーまで付けられちゃ、とほほ…である。

 今後続編が書かれるかどうかはわからないが、これで殺人鬼氏を復活させてしまったら、『13日の金曜日』と同じ道を歩んでしまう気がしないでもない。刊行されたらきっと買うだろうけど。



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