東川篤哉 02


密室に向かって撃て!


2011/02/11

 烏賊川市シリーズの第2作。デビュー作である前作『密室の鍵貸します』に続き、タイトルには密室の2文字が。ついでに、前作に続きタイトルは有名映画のパクり。

 持ち逃げされた模造拳銃によるホームレス射殺事件が発生。その後、十乗寺家の屋敷で、娘のさくらの3人の花婿候補のうち1人が銃弾に倒れた。ホームレス射殺事件と同じ銃による犯行だった。現場では別の花婿候補が気を失っていた…。

 前作では流平が文字通りの密室状態に置かれたが、本作は密室は密室でもいわゆる「衆人監視の密室」というパターンである。これ以上詳しいことは書かないでおこう。

 十乗寺さくらの初登場作品だが、ゲストキャラがいつの間にかレギュラーに昇格するのがこのシリーズの特徴らしい。しかし、前作に登場したホームレスの金蔵はこんな理由であっさり殺され…。さくらと偶然出会った流平によって、鵜飼と十乗寺家が引き合わされるという、ご都合主義な展開については特に何も言うまい。

 前作でポイントなる謎を解いたのは砂川警部だったが、本作の謎を解くのは鵜飼であり、警察は序盤の失態といい道化に回っているのが興味深い。一応探偵役の鵜飼がたっぷり焦らして謎解きするのだが、さっぱり堂に入っていない…。

 とはいえ、ロジックに文句はない。個人的には重視していないギャグの中に、数々の伏線が散りばめられていたことがわかる。そして、まさに一世一代のトリックが炸裂!!!!! 砂川警部と志木の捜査も、ちゃんとヒントを与えていることに触れておきたい。

 今回は鵜飼が師匠の貫録を示し、流平は地味な活躍に留まったかなあ。惜しいところまで推理していたのに。流平とさくらの今後やいかに。

 本作もまた、秀逸なアイデアにより成功が約束されていたと言えるだろう。しかし、せっかくのアイデアも、生かし切るだけの構成力がなければ意味がない。同じトリックでも、見せ方一つで驚きの大きさが変わる。東川篤哉さんは見せ方も心得ている。



東川篤哉著作リストに戻る