東川篤哉 19

探偵部への挑戦状

放課後はミステリーとともに2

2013/12/02

 鯉ケ窪学園探偵部シリーズの第4作にして、『放課後はミステリーとともに』の続編である。本格というより、もはや受け狙いに走っている感があり、読者にはそれを笑い流す度量が求められる。前作が楽しめたなら問題ないであろう。

 「霧ケ峰涼と渡り廊下の怪人」。自称高校陸上界のスーパーヒーローの足立君、またしても受難。一応すべてが説明され、本格っぽいと言えなくもない。「霧ケ峰涼と瓢箪池の怪事件」。一つ間違えば大惨事だったことを思えば笑えない…。彼の運命やいかに。

 本作の一押し、「霧ケ峰涼への挑戦」。学園祭の華、ミスコン。しかし、ミスコンはミスコンでも…。おいっ! そんなところにヒントがあったなんてふざけすぎだ!! というか、こんなヒントに気づかなかった自分自身が腹立たしいぞっ!!!

 「霧ケ峰涼と十二月のUFO」。神父の撲殺未遂とは何と罰当たりな。ところが真相は…。無理矢理すぎるシチュエーションが素敵。「霧ケ峰涼と映画部の密室」。贅沢な部室もあったものだが…こんな手間暇かけるなら正直に言いなさいよ…。

 「霧ケ峰涼への二度目の挑戦」。「霧ケ峰涼への挑戦」より先に読んではいけませんとだけ書いておこう。なかなか考えられたトリックだが、最後の詰めが…。三度目、四度目があるのだろうか。いっそのこと、この対決だけでまとめたらどうでしょう?

 「霧ケ峰涼とお礼参りの謎」。季節は巡り、鯉ケ窪学園にも卒業シーズンがやって来た。うーむ、凶器の独創性だけは注目に値するが、鯉が無傷だったとは思えない。動物愛護団体から抗議されたりして。既読の方は空白部を反転してお読みください。

 全7編、今回も馬鹿馬鹿しくて楽しめたのだが、東川篤哉さんはこのまま短編ライトミステリ路線で行くのだろうか。本格マニア以外にはこのくらいの方が受け入れられるだろうけど、そろそろ長編を出しませんか。どのシリーズでもいいので。

 で、鯉ケ窪学園探偵部は今後も安泰と思っていいのか?



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