北山猛邦 11

猫柳十一弦の失敗

探偵助手五箇条

2013/01/11

 物理トリックの雄・北山猛邦さんの、1年ぶりの新刊は『猫柳十一弦の後悔』の続編である。前作も悪くはなかったが、やはり物理トリックに期待したくなるのが正直なファン心理である。そして…一応、物理トリックの雄の片鱗は見せたと思っていいのだろうか…。

 山に閉ざされた稲木村にある名家・後鑑家の4女に脅迫状が届く。成人するまでに嫁がなければ一族を追放するという。差出人は、村に伝わる戦国時代の伝説の姫? 彼女の20歳の誕生日が迫る中、相談を受けた君橋(クンクン)と月々(マモル)は…。

 って、何だよその無理がある作戦は。しかし、マモルはまさかの強行突破を図る。え? これでもう終わり? ということはもちろんなかった。村について調べていた2人のゼミ教官・猫柳十一弦は惨劇が起きると予測。こうして村での潜入活動が始まった。

 前作は設定だけなら典型的なパズラーだったが、今回は閉ざされた村の名家、古い因習や伝説など、設定だけなら横溝正史っぽい。しかし、金田一耕助シリーズのような重厚さは微塵もないのは言うまでもない。何しろ探偵役が地味なのだから。

 最初の「事件」こそ派手だが、以降はどんどん尻すぼみになるのは前作と一緒。猫柳探偵の推理が二転三転した末の真相は、十分衝撃的なはずなのに。サブタイトルにある「探偵助手五箇条」が各編のタイトルになっているのだが、意味があるようなないような。

 今回のポイントは、「事件」よりも協力者の存在か。村の隣町にあるペンションが前線基地となる。オーナーの男性は元探偵助手で、猫柳探偵とは旧知の仲らしいが、過去に何があったのか尋ねても歯切れが悪い。最後に明かされるのだが…脱力。

 北山猛邦さんは、このシリーズの方向性をどう考えているのだろうか。というより、どういう読者層をターゲットにしているのだろうか。少なくとも、僕が期待するような方向ではなさそうである。続編が出るとしたらとりあえず買うだろうけど。



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