今野 敏 PQ-04 | ||
超人暗殺団 |
『奏者水滸伝 白の暗殺教団』と改題されたシリーズ第4作。白い教団と聞くと、スカラー波とか何とか言っていた白装束集団を思い出すが…。
米国西海岸に拠点を置く『バール教団』は、宗教団体を隠れ蓑にした国際暗殺組織だった。そのバール教団が、来日するVIPを狙って日本でのテロを計画しているという。『超能力者狩り』に登場したFBI捜査官のアダムスンが、再び日本に派遣される。ということは、公安部総務課特命班に異動した赤城も駆り出され、そしてあの4人も…。
今回の中心人物は遠田宗春。実は、宗春の父である遠田流の家元が、来日するVIPをもてなす茶会を開くことになっていた。当然、宗春も働くことになる。ベーシストではなく、宗春の茶道家としての顔が描かれる点は興味深い。
さっさと宗春を茶道に専念させたい家元が、4人のライブを聴きに出向くという珍しいシーンもあるが、今回は演奏シーンはシリーズ中最も少ない。前作『妖獣のレクイエム』の感想に、そもそも4人がジャズメンである必要があるのかと書いてしまったが、演奏シーンに期待している読者にはお生憎様と言うしかない。
さて、『バール教団』が日本に送り込んだテロリストとは、中国人の3姉妹。4作目にしてついにというべきか、超能力者が相手である。美貌とは裏腹に、古丹や比嘉を病院送りにするほどの強敵だ。いや、古丹の入院は恒例だったっけ。
自らが超能力者である4人だけに、単純に倒すのではなく、救ってやりたいという心理が働く。『超能力者狩り』のように。比嘉は、女に手を上げることに逡巡を示す。3姉妹最強の長女に対し、茶室で対峙する宗春。うーむ、決着が呆気ない気がするが…。
4人がジャズメンである必要があるかという、僕がこのシリーズに抱く疑問への答えが、宗春の言葉に一応集約されているか。彼らとて、苦悩しながら超能力と付き合っているのだ。解説によれば、第5作は演奏シーンがたっぷりらしいが、果てさて。