舞城王太郎 05


阿修羅ガール


2003/02/27

 新潮社というとどちらかといえばお堅いイメージがある。出版界で唯一、文庫にスピン(紐のこと)を採用するこだわり。三島由紀夫賞なんていかにも堅そうだ。あれ? でも第15回のノミネート作品にはイメージにそぐわない作家の名がなかったっけ?

 などと白々しいことを書いてしまったが、言うまでもなくその名は舞城王太郎。本作は、初めて講談社以外から刊行された舞城作品である。

 主人公の愛子は恋に悩む女子高生。好きでもない男と寝て自己嫌悪に陥ったり、シメようと呼び出した相手を逆にシメてしまったり。今時女子高生などと一括りにしてしまうには乱暴かと思えるキャラクターだが、読んでいてさほど嫌悪感を抱かないのは独特のハイテンションな文体に拠るところが大きいだろう。

 第一部は「アルマゲドン」のタイトル通り、舞城節炸裂のはちゃめちゃな展開。それでも引き込まれるのは、他の追随を許さない独特の作品世界にはまってきたからか、それとも単に免疫ができたからか。いわゆる2ちゃんねらーならにやりとするに違いない。舞城さんのルーツが2ちゃんねるにあるのかはわからないが。

 注目されるのは、第二部「三門」を構成する三つの物語だろう。活字が大きいだけに愛子の心中が察せられる「崖」。舞城さんに殺人鬼を書かせたらこうなる「グルグル魔人」。特筆すべきはある映画からインスパイアされたという「森」。これだけでホラー長編にしてもいいくらい極めて映像的だ。怪物の姿を決して映像では観たくない。

 第一部と第二部の繋がりは第三部「JUMPSTART MY HEART」で明らかになる。何だか綺麗にまとまっているなあ。けど悪くない。

 『煙か土か食い物』には批判的な感想を書いたが、ここまできたらその作品世界と講談社の先見の明を認めなければならない。本作は新しい試みでありながら、舞城作品の個性は失われていない。まだまだ大化けしそうな作家である。



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