舞城王太郎 08


みんな元気。


2004/11/08

―舞城氏のなかには、何か形にならない大きなエネルギーがくんずほぐれつなままとぐろを巻いている。しかしそれはいまのところ支離滅裂で、氏自身が持て余しているといった印象を受ける。

 第16回三島由紀夫賞における宮本輝氏の選評の引用である。またかよと言われそうだがご容赦を。宮本氏の選評中、好意的に受け取れなくもない箇所はこれだけで、最初に読んだときは随分と意固地だなあと思ったものである。ところが、本作を読んでみて、宮本氏の言い分に納得させられようとは。

 ……さっぱり読み進まない。なぜか? 物語に没入できないからだ。没入できないのはなぜか? そもそも物語というものが、ここには存在しない。流れがないから停滞する。あのデビュー作『煙か土か食い物』でさえ、流れは意識していたのだ。

 はっきり言わせてもらう。これが商品として店頭に置かれているのはいかがなものかという出来だ。本作収録の「我が家のトトロ」に、面白い小説を模索する悩める作家が登場する。舞城さんご自身、デビュー以来模索しているだろう。作家たるもの、模索は大いに結構。だが、模索の途中経過を読まされる読者は辛い。

 作家サイドよりは出版社サイドに問題があるかもしれない。話題の作家だからとりあえず出せば売れるだろうという計算があったのではないか。事実、名前で買ってしまった読者がここに一人いる。え、自分が悪い? まあそうなんだけど。

 僕は舞城作品に何を期待しているのだろう。少なくともファンであるとは自覚していない。舞城作品が好きというより、理解したいという願望に動かされているように思う。そんな僕には、本作を攻略することはできなかったということだ。

 とりあえず次も読んでみよう。今のところ期待しているし、誉めてみたいから。



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