湊かなえ 02


少女


2012/02/24

 個人的に、デビュー作『告白』には辛い評価をした。失礼ながら、湊かなえ作品はしばらく読まなくていいやと思ったのだった。第2作『少女』が文庫化され、久々に湊かなえ作品を手に取ったが…いやはや、すっかりやられましたとも。

 かつては親友だったのか? 由紀と敦子、2人の女子高生が交互に語り部を務めながら物語は進む。同じ道場で剣道に打ち込んでいた2人は、それぞれの理由で剣道を断念した。現在は同じ高校に通い、互いに疑心暗鬼に陥っている。

 由紀と敦子は、転校生の紫織から告白される。彼女は友人の死を目の当たりにしたことがあるという。2人は、人の死を見てみたいと思った。由紀はボーイフレンド(?)の牧瀬からも人の死に触れた経験を聞き、さらに熱望するのだった。

 序盤から歪んだ願望についていけないが、夏休みに入り、2人はそれぞれのアプローチで人の死を経験しようとする。具体的には触れない。当然、大人たちは2人の真意を知らずに受け入れる。読み進むと、かなり早い段階で2人のアプローチが絶妙に交錯していることに気づくだろう。僕が気づくほどあまりにも露骨なのだから。

 家庭事情などを織り交ぜつつ、複雑な心理を垣間見せる2人。善人ではないけれど悪人でもない。似ているようで似ていない。けれども目的は同じ。2人の輪郭は極めて曖昧で、どちらが語り部なのかこんがらがることもしばしば。だが、これは意図的だった。

 別行動をしていた2人がついに対面する。いずれ会うとは思っていたので、当人たちほどの驚きはなかった。思惑が一致し、ある場所に移動する2人。そこで最初のどんでん返しが待っていたっ!!!!! 現実にあってもおかしくないと思える、現代社会よ。

 すべての伏線が一つに収束する、この緻密な構成力。何だかんだで、最後はきれいにまとまったのか? と思ったら、終章に至り、はっ????? さらに最後の最後で、へっ????? ようやくわかった序章の意味に苦笑するしかない。因果応報…なのだろうか。

 書店員の方による文庫版解説は的確で感心したが、最初に読んではいけない。



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