森 博嗣 37 | ||
臨機応答・変問自在2 |
前作『臨機応答・変問自在』に続く、Q&A集第二弾。前作は森博嗣さんの講義で学生から寄せられた質問の中からピックアップしていたが、今回はインターネット上で読者から質問を募集した。二ヵ月間の募集期間に、1500件以上の質問が集まったという。
要するに、二匹目のどじょうを狙った本である。面白さは確実に前作より劣る。
無理もない。質問を送った読者は例外なく前作を読んでいるだろう。採用されたい、評価されたいという計算が当然作用する。森博嗣さんご自身が「わざとらしい」と言っているように、どうしても作為の臭いがする。純粋な質問になり得るはずがない。
一方、質問者ではない読者の立場からすれば、森博嗣さんがどのような回答をするかは前作から予想がつく。もちろん完全に予想通りではないのだが、当たらずしも遠からずだ。質問といい回答といい、これでは面白いはずがない。
さぞかし質問を厳選しているかと思いきや、実際には全質問中の4割程度が採用された。かなり高い採用率である。裏を返せば、読者数の割には質問が集まらなかったとも言える。正直、よくこれが採用されたなという質問も多く、今回の企画の苦しさがうかがえる。と、質問を送ってもいない僕が言っては失礼だが。
少なくとも、採用されたかどうかに関わらず、質問を送った読者は純粋な読者だろう。たとえ「わざとらしい」質問だろうとも。よくそんな質問送るよなと鼻で笑っている僕は嫌な読者である。質問を送った読者がいたからこそ本書は刊行され、僕はこうして手に取ることができた。僕みたいな読者ばかりだったら本書は成立しなかったのだ。
森博嗣さんが回答に一切リップサービスを加えていない点はさすがだと思った、とフォローしておこう。それが森博嗣の森博嗣たる所以である。中には冷たくあしらわれてみたくて質問を送った読者もいたんだろうか。