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「はあ、はあ、...」 緊張しています。手がふるえます。 伝説の宝石「68882」を超安値で手に入れたぼくは、いま、約束の聖櫃「LCIII」のフタを開けようとしているところです。 コンピューターは恐ろしいもの。 触ってはいけないもの。 しかもぼくがこれまで苦労して貯めたお金を根こそぎ奪い去ったもの。 いわばぼくの貯金そのものなのです。 「ミスするわけにはいかない...保証がきかなくなっちゃう。」 |
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当時はそこら中の雑誌に「フタを開けると保証が受けられなくなるからショップにお願いして...」という呪文が必ずのっていました。わけが解っていない人を脅すには十分な迫力がある文句です。でもショップにくれてやるようなお金はありません。ぼくは貧乏な版下職人です。これからはDTPにしないと生きてゆけないというので仕方なくマックを買ったのです。 スイッチオン!
「だれだ!」 |
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「わたしはトホホ妖精。ひとが(ちょろいじゃん)とか思って調子づいた時に現れるの。そうして、ますます調子づかせるのが仕事なの。」 彼女の話だと、彼女の仲間は大昔からいて、モヘンジョダロの人たちをレンガ焼きマニアにしたり、エドの人たちをミカンマニアにして傷みかけたみかんに大枚はたかせたり、ポルシェ博士の戦車を電気駆動にさせて走らなくしたり、イギリス人にへんてこな艦上攻撃機を作らせたり、航空自衛隊に使えない国産輸送機を採用させて、やっぱり使えないからと最初に断ったハーキュリーズを買わせたり、陸上自衛隊に、断ったハマーそっくりなもっと高い国産機動車を採用させたり、と、世の中の「なんでそんなことを...」という暴走はすべて彼女たちのおかげなのだそうです。」 |
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「あなたいま、改造が終わってつまんないと思ったでしょ?もっと改造したいと思ったでしょ?」 「そんなあなたのトホホな気持ちは大切にしなきゃね。」 彼女の声が遠くなってゆきます。 |
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「え!バ、バーサーカーはちょっと...か、改造ブラックナイトとかじゃないの...?」 「そんなレベル高い改造するほど頭よくないでしょ?だから、あなたは、身の程知らずな改造にも平気でたちむかう破滅の狂戦士、バーサーカーなの。」 「おおおお!なんでアップルのサプライはバカ高いんだ〜!スカしやがって〜!なんでショップの店員は人を小ばかにするう〜!うおおお!保証なんか、クソくらえ〜!」 でもぼくが本当に暗黒道に墜ちたのはLC630を手に入れてからした。 |
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